演奏家応援企画 第4弾 愛知のプロ・オーケストラ×宗次ホール《いきなり♪コンサート》
《緊急企画》『いきなり♪コンサート』Part 13 愛知室内*ヴァイオリン四重奏
2020年
8/23
(日)
14:00開演
13:30開場
- 出演者
- 五十嵐景子(ヴァイオリン)、岩月茉那(ヴァイオリン)、亀谷希恵(ヴァイオリン)、鈴木崇洋(ヴァイオリン)
- 曲目
- G.P.テレマン:4つのヴァイオリンのための協奏曲ト長調 TWV 40:201
加藤昌則:幻影音描
I.ラハナー:4つのヴァイオリンのための四重奏曲 ト長調 Op.107
G.バツェヴィチ:4つのヴァイオリンのための四重奏曲
新型コロナウィルス感染拡大の影響により、3月からほぼ3ヶ月間、愛知県内に拠点を置く4つのオーケストラは、演奏の機会を失っています。経済的なことも重要な問題ですが、それと同時に音楽家にとって演奏する場が無いということの歯がゆさ、いたたまれなさは、想像するに余りあるものです。
一方、宗次ホールでは、3月以来100公演以上が中止に追い込まれながらも、6月よりやっと段階的にコンサートを再開し始めました。そこで、オーケストラの演奏活動再開が軌道に乗るまでの間、その楽員さんに“いきなり”出演していただいてはどうか、というのがこの企画の発端です。
タイトルの通り、公演実施発表から1ヶ月足らずの超短期間で“いきなり”開催。チラシも無ければチケットも無し。上演1時間休憩なし。お申し込みは基本的にメールフォームで、というシンプルで“いきなり”かつ“粋な”コンサートを目指します。
◆料金 2,000円
公演当日、入場時に現金または宗次ホールコンサートクーポンで支払い。
(出来るだけお釣りの出ないようご用意ください。)
◆上演時間 約60分(休憩はありません)
◆ご来場のお客様へのアンケート
コンサートはいかがでしたか? 是非アンケートにご協力下さい
▶▶▶アンケートはこちらから◀◀◀
(質問・回答ページが開きます)
◆注意事項
○定員 約150名(感染の状況によって、定員が増減する場合があります。)
○自由席(分散して着席するため、使用できないお席がございます。)
○お客様のご来場状況によっては混雑緩和のため開場時間を早めることがあります。
○お客様から申込時に頂いた個人情報は、万一当館が感染経路となった疑いが持たれた場合
保健所等関係各所に開示される場合がございます。ご了承ください。
○館内ではマスクを正しく着用して頂き、適宜 手洗い・消毒の励行をお願いいたします。
○お申し込みを多数いただいた場合・・・
―定員に達しましたら以降お申し込み受付を終了いたします。
―当日券のご用意は確約できません。事前予約にご協力よろしくお願いいたします。
主催:宗次ホール
企画協力:愛知室内オーケストラ
8月1日(土)10:00より、専用メールフォームで受付開始。 ※同日同時刻より宗次ホールチケットセンターへの電話・FAX・窓口来店でご予約承ります。
『いきなり♪コンサート』7~8月の他公演の予定
Part 5 7月3日(金)中部フィル:ピアノ三重奏
Part 6 7月13日(火)セントラル愛知:弦楽三重奏
Part 7 7月16日(木)名フィル:弦楽四重奏
Part 8 7月19日(日)名フィル:ピアノ三重奏
Part 9 7月31日(金)名フィル:弦楽四重奏
Part 10 8月1日(土) 中部フィル:クラリネット&弦楽四重奏
Part 11 8月11日(火)セントラル愛知:ファゴット&弦楽四重奏
Part 12 8月17日(月)中部フィル:弦楽四重奏
Part 14 8月30日(日)名フィル:弦楽四重奏
Part 13 出演者からのメッセージ
私たち愛知室内オーケストラも3月の定期演奏会より全ての公演の延期、中止を余儀なくされ、これまで自分たちが仕事として、また生きがいとしてきた音楽活動が『不要不急』という言葉で片付けられてしまったような感覚に虚しさを覚えました。確かに自分の周りから演奏会がなくなっても、多少の制限や新しい生活様式の中で『生物的に』生きることはできました。しかし『人』として必要な心の潤いを、熱中症のように自分が気づかないうちに失っているかもしれません。
このコロナ禍で私たちが音楽で何ができるか、何をすべきか深く考えることとなりましたが、私自身がこれまで音楽で人と喜びを分かち合い、音楽で悲しみや悩みを癒してきたことは間違いありません。また音楽が繋いでくれた出会いは数知れません。そうした音楽の役割は人の営みに不可欠だと思います。まだ終息が見えない中、こうして生の音楽を通して人と人が繋がれる機会を与えていただけたことに深く感謝するとともに、人が人として生きるための力に少しでもなれればと思います。
今回は珍しいヴァイオリン4本での四重奏で、バロックから現在活躍中の作曲家まで幅広い時代の作品を演奏します。お客様とまた会場で笑顔でお会いできますことを楽しみにしています。どうぞお気をつけてお越しください。
岩月茉那
プログラムについて
G.P. テレマン:4つのヴァイオリンのための協奏曲 ト長調 TWV 40:201
Georg Philipp Telemann(1681-1767):Concerto for 4 Violins in G Major, TWV 40:201
Ⅰ. ラルゴ・イ・スタッカート
Ⅱ. アレグロ
Ⅲ. アダージョ
Ⅳ. ヴィヴァーチェ
加藤昌則:幻影音描(日本初演)
I. ラハナー:4つのヴァイオリンのための四重奏曲 ト長調 Op.107
Ignaz Lachner(1807-1895):String Quartet in G Major for Four Violins, Op.107
Ⅰ. アレグロ・モデラート
Ⅱ. アンダンテ
Ⅲ. アレグロ・ジョコーソ
Ⅳ. アレグロ ヴィーヴォ
G. バツェヴィチ:4つのヴァイオリンのための四重奏曲
Grażyna Bacewicz(1909-1969):Quartet for 4 Violins
Ⅰ. アレグレットーアレグロ・ジオコーソ - ポコ・メノ - テンポII
Ⅱ. アンダンテ・トランキーロ
Ⅲ. モルト・アレグロ
G.P. テレマン:4つのヴァイオリンのための協奏曲 ト長調 TWV 40:201
ゲオルク・フィリップ・テレマンは1681年生まれの後期バロックを代表する作曲家です。バッハと同世代で彼の息子のC.P.E.バッハの名付け親になる程の親交がありました。テレマンは当時最も成功した作曲家の1人であり、とてつもない数の曲を残したことでも知られています。作風もバロックから前古典派に近いものまで幅広い多様性を持っています。本日演奏する「4つのヴァイオリンのための協奏曲 ト長調」も、その多様性にあやかった珍しい編成の楽曲です。緩-急-緩-急の4部形式で書かれていますが、対位法は勿論、斬新な和声進行、そしてテレマン特有のユーモアまでが短い中に凝縮された素晴らしい曲です。近年再評価の動きが著しいテレマンの曲をどうぞお楽しみ下さい。
(文:鈴木崇洋)加藤昌則:幻影音描
スイスのチューリッヒに在を置く、トーンハレ管弦楽団には日本人のヴァイオリン奏者が当時4人在籍していて、日本人作曲家とスイス人作曲家に、それぞれ2作品ずつ委嘱し、初演するという演奏会が企画されて、スイスにしばらく滞在した縁もあり、僕に声がかかりました。「Heimat Wo?=故郷はどこに?」と題され、長らくスイスに住みながらも日本人としてのアイデンティティーの狭間で生きてきた演奏家の苦悩や誇りも表現する内容に、作品の素材を和的な、アジア的なものにしようと考え、墨絵の世界から広がるファンタジックな架空の話を音楽で表してみようと思いました。「一匹の猿が現れ、イタズラをし、悪戯が過ぎて、再び墨絵の世界に戻されてしまう」そんな絵物語をヴァイオリン4本の掛け合いの中で表現した作品です。4つのヴァイオリンという珍しい編成も生かして、例えばステレオ効果の様に音がそれぞれの楽器に移り変わっていったり、主旋律が交互に変わったりなど、音響的なことも考えています。スイスでは再演もされている作品ですが、日本で演奏されるのは初めてだと思います。スイスの人々には墨絵の世界はモノクロームの印象が強いみたいですが、日本人にはもう少し色彩的なイメージも容易なのではないでしょうか!?音の中に描かれるストーリーにそんな絵画的な想像も膨らませていただけたら嬉しいです。
(文:加藤昌則)I. ラハナー:4つのヴァイオリンのための四重奏曲 ト長調 Op.107
ヴァイオリン4本という少し珍しい編成の曲探しの中で、イグナツ・ラハナー(1807-1895)というドイツの作曲家に出会いました。ハイドン、モーツァルト、また兄の友人であったシューベルトからも影響を受けたラハナーは、晩年この4つのヴァイオリンのための四重奏曲を完成させた後に「最後までウィーンの古典的な作曲家に忠実であり、とても尊敬していました」と言葉を残しています。この作品からも明快さや、しなやかな美しさを随所に感じます。毎日の暑さの中に、爽やかな風が駆け抜けるような1曲です。
(文:五十嵐景子)G. バツェヴィチ:4つのヴァイオリンのための四重奏曲
グラシナ・バツェヴィチはポーランドの女性作曲家です。作曲家としても有名になりましたが、ヴァイオリニストでもあったため、ヴァイオリンの作品を多数残しています。今回演奏するヴァイオリン四重奏曲には女性が作曲したとは思えない程の力強さ、たくましさ、しかしそこに垣間見える女性らしい穏やかな哀愁漂うメロディーが出てきます。例え長い曲では無いですが、3楽章ともに様々な感情が詰め込まれているので、とても充実しており、演奏しがいのある作品です。聴き馴染みの少ない作品ではありますが、おそらくどの方も気に入って楽しんで頂けるかと思います!
(文:亀谷希恵)
出演者プロフィール
五十嵐 景子(ヴァイオリン)Keiko Ikarashi
愛知県出身。愛知県立明和高等学校音楽科を経て、愛知県立芸術大学音楽学部器楽科卒業。2004年、ウィーン夏期国際音楽ゼミナールにて、エドワード・チェンコフスキー氏のマスタークラス受講。これまでにヴァイオリンを佐々木はるる、瀬戸瑶子、福本泰之、白石禮子の各氏に師事。室内楽を進藤義武、天野武子、ウラディミール・マリーニンの各氏に師事。
岩月 茉那(ヴァイオリン)Mana Iwatsuki
愛知県出身。愛知県立明和高等学校音楽科を経て、愛知県立芸術大学卒業。同大学院修了。学部在学時、同大学定期演奏会に出演。第6回全日本ジュニアクラシック音楽コンクール入選。第7回名古屋演奏家育成塾にて奨励賞および聴衆賞受賞。2005年、フランスのロレーヌ国際フェスティバルアカデミーでギュイ・コマンターレ氏の指導を受け、ソロで講習生コンサートに、室内楽で修了コンサートに出演。2008年日本音楽教育学会東海地区・日本音楽学会中部支部合同例会にて修士論文を発表。これまでにヴァイオリンを山本美季、故近藤フミ子、市川絵理子、瀬戸瑶子、進藤義武の各氏に師事。愛知室内オーケストラ団員。
亀谷 希恵(ヴァイオリン)Kie Kametani
愛知県出身。1998年NHK名古屋青少年交響楽団に入団。2004年ケルン音大教授ゲッツァ・カーパス氏の特別レッスンを受ける。2008年森悠子氏主催のフランスアカデミー、大学内でアゴスティーニ氏の公開レッスンを受講、室内楽で大学内での演奏会に多数出演。2011年桐朋学園富山室内楽講座にて東京クァルテットに師事、東北関東大震災チャリティーコンサートや福島復興チャリティーイベントに出演。2012年桐朋オーケストラアカデミーにおいて成績優秀者としてリサイタルに出演。2012年より小澤征爾音楽塾オペラプロジェクト、サイトウキネンフェスティバル松本に参加。現在、様々なオーケストラにエキストラとして出演、クラシックに留まらずJPOP有名アーティストのバックバンドとしても多数出演、ライブを企画したり東海地区を中心に幅広く演奏活動をしている。愛知室内オーケストラ団員、名古屋弦楽四重奏団メンバー。菊里高校音楽科卒業、愛知県立芸術大学音楽科卒業、桐朋学園大学音楽学部研究科卒業、桐朋オーケストラアカデミー研修課程卒業。これまでに北垣紀子、和波たかよしの各氏に師事。室内楽を百武由紀、毛利伯朗、佐々木亮の各氏に師事。
鈴木崇洋(ヴァイオリン)Takahiro Suzuki
宮城県出身。愛知県立芸術大学 音楽学部音楽科器楽専攻を修める。愛知室内オーケストラ・ヴァイオリン奏者。室内楽では「Trio de cloche~トリオ・ド・クロシュ」を結成し、シューマンのピアノトリオのチクルス等、精力的に活動している。またバロック・ヴァイオリンによる演奏では「Baken Kanmer Solisten」「東海バロックプロジェクト」などで、忘れ去られた作曲家の作品等を演奏する活動を行っている。現在、ヤマハミュージックリテイリング講師。