演奏家応援企画 第4弾 愛知のプロ・オーケストラ×宗次ホール《いきなり♪コンサート》
《緊急企画》『いきなり♪コンサート』Part 5 中部フィル*ピアノ三重奏
2020年
7/3
(金)
14:00開演
13:30開場
- 出演者
- 古井麻美子(ヴァイオリン)、河井裕二(チェロ)、近藤杏美(ピアノ)
- 曲目
- グリエール:ヴァイオリンとチェロのための8つの二重奏曲 Op.39
メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲 第1番 ニ短調 Op.49
新型コロナウィルス感染拡大の影響により、3月からほぼ3ヶ月間、愛知県内に拠点を置く4つのオーケストラは、演奏の機会を失っています。経済的なことも重要な問題ですが、それと同時に音楽家にとって演奏する場が無いということの歯がゆさ、いたたまれなさは、想像するに余りあるものです。
一方、宗次ホールでは、3月以来100公演以上が中止に追い込まれながらも、6月よりやっと段階的にコンサートを再開し始めました。そこで、オーケストラの演奏活動再開が軌道に乗るまでの間、その楽員さんに“いきなり”出演していただいてはどうか、というのがこの企画の発端です。
タイトルの通り、公演実施発表から1ヶ月足らずの超短期間で“いきなり”開催。チラシも無ければチケットも無し。上演1時間休憩なし。お申し込みは基本的にメールフォームで、というシンプルで“いきなり”かつ“粋な”コンサートを目指します。
◆料金 2,000円
公演当日、入場時に現金または宗次ホールコンサートクーポンで支払い。
(出来るだけお釣りの出ないようご用意ください。)
◆上演時間 約60分(休憩はありません)
◆ご来場のお客様へのアンケート
コンサートはいかがでしたか? 是非アンケートにご協力下さい
▶▶▶アンケートはこちらから◀◀◀
(質問・回答ページが開きます)
◆注意事項
○定員 約150名(感染の状況によって、定員が増減する場合があります。)
○自由席(分散して着席するため、使用できないお席がございます。)
○お客様のご来場状況によっては混雑緩和のため開場時間を早めることがあります。
○お客様から申込時に頂いた個人情報は、万一当館が感染経路となった疑いが持たれた場合
保健所等関係各所に開示される場合がございます。ご了承ください。
○館内ではマスクを正しく着用して頂き、適宜 手洗い・消毒の励行をお願いいたします。
○お申し込みを多数いただいた場合・・・
―定員に達しましたら以降お申し込み受付を終了いたします。
―当日券のご用意は確約できません。事前予約にご協力よろしくお願いいたします。
主催:宗次ホール
企画協力:中部フィルハーモニー交響楽団
6月26日(金)10:00より、専用メールフォームで受付開始。 ※6月27日(土)より宗次ホールチケットセンターへの電話・FAX・窓口来店での予約受付も可能です。
『いきなり♪コンサート』7~8月の他公演の予定
Part 6 7月13日(月)セントラル愛知:弦楽三重奏
Part 7 7月16日(木)名フィル:弦楽四重奏
Part 8 7月19日(日)名フィル:ピアノ三重奏
Part 9 7月31日(金)名フィル:弦楽四重奏
Part 10 8月1日(土) 中部フィル:クラリネット&弦楽四重奏
Part 11 8月11日(火)セントラル愛知:ファゴット&弦楽四重奏
Part 12 8月17日(月)中部フィル:弦楽四重奏
Part 13 8月23日(日)愛知室内:ヴァイオリン四重奏
Part 14 8月30日(日)名フィル:弦楽四重奏
Part 5 出演者からのメッセージ
音楽は不要不急のものだ、と言われていた気がした自粛期間。これまでなく家族と一緒に過ごせた時間に感謝しながらも、私は何者なのか、自問自答することもありました。子供達の学校も再開し、オンラインレッスンから、パネルやマスク越しに対面レッスンをする日がスタート。日本だけでなく、世界各地のオーケストラからはソーシャル・ディスタンス検証の報告や、お客様を減らして開催する演奏会、プログラムを変更した無観客ライブ配信がチラホラ… 新しい生活がスタートする中、黙々と基礎練習をするのではなく、誰かと一緒に弾きたい。そう思い始めた矢先、宗次ホールさんから、まさに『いきなり』のお話を頂きました。
演奏会ができる!
仲間と一緒に演奏出来る!
お客様に聴いて頂ける!
ああ、弾きたい!
何を弾こうかと楽譜を引っ張り出し、仲間と連絡を取り合いながらワクワクし、夜も眠れませんでした。
音楽は人と人を繋ぐ、時間と空間を共有できるもの。今日こうして演奏できるのは、お客様、宗次ホールさん、そして一緒に演奏する仲間達…… 喜びを噛み締めながら、感謝、ひたすら感謝です。
最後に、生誕250周年のベートーヴェンの言葉を借りるなら、
音楽が人生の重荷を振り払い、あなたが他の人たちと幸せを分かち合う助けとなりますように。
言葉より容易に心に届きますように。
ありがとうございます。
曲目について
ヴァイオリンとチェロのための8つの二重奏曲 作品39 Eight Duets Op.39
R.グリエール Reinhold Moritzevich Glière(1875-1956)
グリエールはドイツ人の父とポーランド人の母の元に生まれ、祖先にもロシア人はいなかったようなので厳密には「ロシアの作曲家」とは言い難いが、モスクワ音楽院で教育を受けたのち、ベルリンに留学し、指揮者オスカー・フリートに指揮法を学んだことでも知られる。作曲をタネーエフに学び、1920年から1941年までモスクワ音楽院で教鞭を執る。ヴァイオリンとチェロのために1909年に書かれたこの作品は、20世紀でもまだまだロマン派の匂いに満ちている。ミニマムな編成から、時にオーケストラを彷彿させる響きを紡ぎだす、色彩的な8曲からなる。
第1曲:前奏曲 ヴァイオリンの持続するGの音の上でチェロが歌いだすのは極めて印象的。
第2曲:ガヴォット 可愛らしいガヴォット、中間部はスコットランドのバグパイプを彷彿とさせる。
第3曲:子守唄 弱音器を付けた弦楽器の音色がまどろみの世界へと誘う。
第4曲:カンツォネッタ チェロのアルペジオの上でヴァイオリンが歌う。
第5曲:間奏曲 8分の6拍子の優雅な音楽。
第6曲:即興曲 ニ短調の暗い影を感じる曲。
第7曲:スケルツォ ユーモアに溢れながらも、ダイナミックな動きが特徴的。
第8曲:エチュード 弦楽器奏者の刻み方の練習曲だろう…。
ピアノ三重奏曲 第1番 ニ短調 作品49 Piano Trio No.1, Op.49
F.メンデルスゾーン Jakob Ludwig Felix Mendelssohn Bartholdy(1809-1847)
「ベートーヴェンの変ロ長調とニ長調の三重奏曲、シューベルトの変ホ長調三重奏曲が彼らの傑作であるように、これは我々の時代の大家の三重奏曲である。それは、来たるべき多くの歳月にとって我々の孫と曾孫を喜ばせるであろう非常に優れた作品である。」この作品に対するシューマンの賞賛の言葉である。
ピアノ三重奏曲の分野においておそらく最もよく知られているであろうこの曲は、1839年メンデルスゾーン30才の時の作品で、同年秋にライプツィヒで友人のヴァイオリニスト、フェルナンド・ダヴィッドと共にメンデルスゾーン自身がピアノを受け持ち初演された。
第1楽章:アレグロ・モルト・アジタート 3/4拍子
チェロによりほの暗く美しい旋律が感情豊かに奏されて、もの哀しさや切なさや愛しさなど、言葉に表しがたい感情の揺れが感じ取れる旋律はヴァイオリンが引き継いで、そこにピアノが見事に絡み合い情熱的に展開。その後いかにもメンデルスゾーンらしい甘く美しい曲想に変化しながらも、3つの楽器のバランスが見事。
第2楽章:アンダンテ・コン・モート・トランクィロ 4/4拍子
静寂からピアノの音色が生まれ、そこからヴァイオリンとチェロの響きがグラデーションを成して存分に広がり、静かな中に幸福感と情熱が湧いているのも感じ取れる「無言歌」。
第3楽章:スケルツォ 6/8拍子
急速なスケルツォは、「真夏の夜の夢」の妖精たちが飛び回る光景を彷彿とさせる。
第4楽章:フィナーレ アレグロ・アッサイ・アパショナート 4/4拍子
エキゾチックな旋律とリズムが印象的で、音の波が押し寄せてくるような情熱的なフィナーレ。
(文:出演者による)
出演者プロフィール
古井麻美子(ヴァイオリン)Mamiko Furui
名古屋市立菊里高等学校音楽科を経て東京藝術大学音楽学部器楽科卒業。チェコ国立プラハ芸術アカデミー(AMU)研究科修了。第46回全日本学生音楽コンクール名古屋大会高校の部第1位。豊田文化奨励賞受賞。室内楽の分野ではラヴェル室内楽作品全曲ツィクルス(全4回)、ブラームス室内楽全曲ツィクルス(全11回)を室内楽集団アンディアーモのメンバーとして行い、名古屋市民芸術祭特別賞、名古屋音楽ペンクラブ賞を受賞。NHK-FM名曲リサイタル、NHK-BS クラシック倶楽部 などに出演。
これまでにヴァイオリンを遠藤和、鷲見健彰、故・伊藤美佐子、北垣紀子、故・田中千香士、故 イジー・トマーシェクの各氏に、室内楽を林俊昭氏に師事。2003年より現在まで中部フィルハーモニー交響楽団のコンサートマスター、また2008年4月~2010年3月まで大阪交響楽団(旧・大阪シンフォニカー交響楽団)のコンサートマスターを務める。後進の育成にも力を注いでおり、名古屋音楽大学および同朋高等学校音楽科非常勤講師。日本弦楽指導者協会会員。
河井裕二(チェロ)Yuji Kawai
同朋高等学校音楽科を経て名古屋音楽大学に特待生として入学。卒業後は、オーケストラのチェロ奏者として演奏をする他、室内楽、ソロでの演奏などでコンサートやイベントに出演するなど、幅広く演奏活動を行っている。これまでに、故 久保田顕、林良一、吉田顯、林俊昭の各氏に師事。現在、中部フィルハーモニー交響楽団チェロトップ奏者。名古屋音楽大学非常勤講師。
近藤杏美(ピアノ)Azumi Kondo
愛知県立明和高等学校音楽科、愛知県立芸術大学音楽学部卒業。愛知県立芸術大学大学院音楽研究科博士前期課程修了。第56回全日本学生音楽コンクール高校の部名古屋大会入選。第11回フッペル平和記念鳥栖ピアノコンクールコンチェルトコース読売新聞西部本社賞受賞。大学在学中より小劇場コンサートシリーズや新進演奏家コンサート等、多数の演奏会に出演。これまでに、加藤真弓、清水皇樹、熊谷恵美子の各氏に師事。現在、ソロ、アンサンブル、オペラの稽古ピアノ、オーケストラ内の鍵盤楽器奏者等、多方面で演奏活動をしながら後進の育成にも力を注いでいる。同朋高校音楽科 非常勤講師。