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音楽で鳥肌がたつのはなぜ?~私達に必要不可欠なドーパミン~



音楽を聴いて、ゾクゾクッと鳥肌が立つことありますよね。
この症状が出るあなたは、少し特殊な脳であるかもしれない、そうです。

南カリフォルニア大学によるとある実験 で、「音楽を聴くと鳥肌が立つ」タイプの10人と、そうでない10人の脳スキャンをとると、前者の方が聴覚皮質と、感情と司る部位を繋ぐ神経線維がより【太い】ことがわかりました。


つまり、脳の「聴く」エリアと「感動する」エリアがよく繋がっているということだそうで、この鳥肌が立つグループは、脳の【前頭前皮質】も後者に比べて発達していました。(さらに、前頭前皮質の領域が大きい人ほど、ストレスから身を守る楽観的な考え方ができるそうなのです!)

この【前頭前皮質】とは思考・創造・思いやりの気持ちなど<ヒトをヒトたらしめる>脳の最高中枢であり、例えば歌詞を深く理解する時などにもここが働きます。

では、どうして「鳥肌」が立つのか?


別の実験では、被験者が好きな音楽を聴いた時、脳の<感情や動き>を司る部分と<音>を司る部分が共に働き、ドーパミンが大量に分泌されることがわかっています。
この“ドーパミン”は快感を感じさせるもので、例えば食事・性交渉といった私達の生命に関わること、そしてアルコールや麻薬・覚せい剤などでも活発になります。
音楽は食事のように生命維持に直接関わることのなさそうな抽象的なものですが、人が好きな音楽を聴く時、明確に心拍数や呼吸、体温に変化が表れます。この変化の度合いは、どれくらいその音楽が好きかに比例するそう。


マギル大学(カナダ)の実験 では、被験者に好きな音楽を聴かせ、脳のMRIスキャンを行いました。
その時の脳内報酬系の動きを見ると、音楽の盛り上がりに応じてニュートラルの状態からピークの前、そしてピークに達するまでがリアルタイムで変化していったといいます。

「鳥肌が立つ」のは音楽を聴いたことによる感情の盛り上がりがピークに達している証拠であり、その盛り上がりが高ければ高いほど、より多くのドーパミンが放出されていることがわかりました。



そして、私達の脳は音楽を聴きながら、常に“次に何が起こるか”を先読みし続けているといいます。そして、予測通りの結果を得られた時、「脳内報酬」が分泌されるのです。

≪次に何が起こるか先読みすること≫は古代から人にとって必要なものでした。
危険から身を守り、生き延びるために。
このあたりが、前述の生命維持とリンクしてくるのかもしれません。

「何が起こるか」成功を祈りながら手に汗握る<先読み> といえば、例えばこちらのラスト2~3分、
大迫力まっちゃんのラフ3。


息を呑んで見守るフィニッシュ、成功したときの鳥肌。
その感覚は、これに似ていませんか? 

●アテネオリンピック 日本体操男子団体 金メダル(有名な、“栄光への架け橋”)


音楽という実体のないものがドーパミンの分泌を促すことについてはまだ謎も多いようですが、好きな音楽を聴くという体験、そして“先を読む”という行為で脳の異なるエリアが互いに働きあい、脳内報酬系ホルモンが放出されることは科学的に証明されました。

ちなみに、音楽で鳥肌が立つタイプの人がより発達しているという、「前頭前皮質」は、老化に伴って最も早く機能低下が起こる部位でもあるそう。(泣)

調べている中で、こんな素敵な言葉を見つけました。

「前頭前野を成長させることが人生そのもの」

・・・宗次ホールで音楽鑑賞をして頂くことで、少しでも皆様の心が豊かになりますように。
(ひいてはアンチ・エイジングにもなりますように)

“もう一度生まれ変わるとしたら、私は少なくとも週に1度は詩を読み、音楽を聴くよう自分に課すだろう”
(ダーウィン


(廣田政子)


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