お元気ですか?vol.1海外在住の演奏家達に状況を聞きました~
2021年が始まり、まもなく1か月が終わってしまいます(!)出口が見えない感染との闘いが続く毎日、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
去年、宗次ホールでも約150公演が中止となりました。その中には今年~来年にかけて振替え公演を調整中のものもありますが、特に外来アーティスト(海外在住の邦人演奏家を含む)については、果たして予定通り実施出来るのか現時点では予測もつきません。
しかしながら・・・
あぁ、中止になったあの演奏家さん・・・元気にされてるのかなぁ・・
また、来てくれるのかなぁ
と気になりますよね!
今回は、「2020年に公演中止となり、振替え公演を調整中」のアーティスト達の中から、特に異なる国に居住されている方々をピックアップして、近況をお伺いしてみました!
2回シリーズの内、今回は第1回目ということで、3名のインタビューをご紹介します。
(以下、名字のアルファベット順です)
フランシスコ・フラナ(ヴァイオリニスト) Francisco Fullana 【米国】
(写真は2018年11月24日宗次ホール公演より)
ー去年前半に比べ、演奏・レッスン等の音楽の仕事の状況はどのように変わっていますか?
私達音楽業界に身をおくものは、このパンデミックで大打撃を受けています。全てのコンサートが中止となってしまい、予定されているのは数えるほどのリサイタルと室内楽のライブ配信の予定のみ。特に私が力を入れていた若い音楽家の為のレジデンス・プログラムも中止せざるを得なくなってしまい、落胆しています。
ーフラナさんの居住先(サンフランシスコ/NYC・米国)の雰囲気はどうですか?驚いたことなどは?
驚いたことは2つ。まず1つ目に、人々の回復力・パワーです。経済難や他人とのコミュニケーション不足で精神的ダメージは誰もが少なからず受けていると思いますが、この限りある環境の中でも諦めることなく、クリエイティブな活動を続け、新しいものを生み出している。すごいことだと思います。
一方、私の家ともいうべき2つの大都市、サンフランシスコとニューヨークは、様変わりしてまいました。街は空虚で、両都市ともかつてのパワーや刺激的な雰囲気をすっかり失ってしまいました。
ーこの時期、新しく始めたこと/日々の楽しみは?
まず、モーツァルトのマルチ・トラック・プロジェクトを始めたことです!これは、私のヴァイオリンでピアノの声部を含む全てを弾くという多重録音なのですが、録音も練習も大変!しかし、大好きなモーツァルトの作品の理解を掘り下げるのに、大変役にたっています。また、Orchid Classicsから今度発売される新しいソロアルバム≪Bach’s Long Shadow≫のための動画撮影において、映像作家の方と製作に励むことも楽しい時間となっています。
ー次日本に演奏会に来られるときに、絶対やりたいことは?一番恋しいことは?
あぁ~!!これはもうたくさんあり過ぎて!!まずは、世界中で私が最も愛する場所である京都・法然院と哲学の道を訪れること。それからちびっこたちの前でまた演奏すること。(前回来日時、フラナさんは名古屋文化学園さんの御招待で、子ども達の前で演奏をしました。)
それから食いしん坊としては寿司、名古屋コーチン、そしてひつまぶしは外せません!!
ーありがとうございます。最後に、お気に入りの写真を1枚ください!
前述の制作中の動画より、ワンショットをこっそりお届けします!
久末航(ピアニスト)Wataru Hisasue 【ドイツ】
(写真は、2019年5月28日にご出演頂いたときのものです)
ー去年に前半比べ、演奏・レッスン等の音楽の仕事、または学校での状況はどのように変わっていますか?
ドイツ全土でのロックダウンの措置を受けて、予定していた演奏会はほぼ全て中止・延期となりました。その分、ストリーミングなどのオンライン上での活動が盛んにおこなれています。音大などの芸術関係の教育機関は一定の条件のもとで特別に開校することが許されており、レッスンは再び実地で行われるようになりました。ただ、音大で定期的に行われていたコンサートや行事などは行われておらず、今までにない特殊な状況が続いています。
ードイツの雰囲気はどうですか?驚いたことなどありますか?
ロックダウンの影響で、街や通りを行く人々の姿は激減しており、依然独特な雰囲気が漂っています。その分、公園や森、湖ぎわなど、野外の自然に憩いを求めてやってくる人が増えているような気がします。またコロナ以前は、ヨーロッパで野外でマスクをする人の姿をまったく見たことがなかったので、地下鉄や街中など全員がマスクをしている今の光景を見ると、不思議な感覚を覚えることがあります。
ーこの時期、新しく始めたこと/日々の楽しみは?
普段よりも体を動かすようになり、ジョギングや運動をして気分をリフレッシュしています。料理する時間も以前より増えました。
ー次日本に演奏会に来られるときに、絶対やりたいことは?一番恋しいことは?
日本の温泉が恋しいです。
ーありがとうございます!最後に、お気に入り写真を1枚ください!
今年の初めに南ドイツの少し標高のある山に登り、一面雪に覆われた雪山をハイキングしたときの一枚です。
その日、地上では雪は全く見られなかったのですが、山道を上がるにつれて気温がぐんぐん下がり、あたりがだんだんと雪に覆われ、頂上付近ではあたり一面真っ白の銀世界でした。空気が澄み切っていて痛いくらいの冷たさでしたが、別世界に踏み込んだような新鮮な気分を味わえました。
向田成人(ピアニスト)Narihito Mukeda 【ハンガリー】
(写真は2019年2月8日にクラリネットのティモシー・カーターさんとご共演されたときのもの。)
ー去年に比べて、演奏・レッスン等の音楽の仕事、また学校での状況はどのように変わっていますか?
ハンガリーは昨年3月の一回目のロックダウンは6月中旬には解除され野外コンサートなどは再開されました。バカンスシーズンの7月、8月にヨーロッパ内での人の往来で感染者が増加し9月より入国制限が開始となりました。しかし気候が冬へ向かうにつれ感染者増加に歯止めが掛からず人口980万人弱のハンガリーで一日の新規感染者6000名を記録することもございました。昨年11月4日より再ロックダウン継続中です。
ーハンガリーの雰囲気はどうですか?驚いたことなどありますか?
コンサートなども一切ない状況が昨年11月4日より始まり生活に彩りがなくなりました。ハンガリーは19時でスーパー、商店は閉店、20時以降は外出禁止令となっております。証明書などを提示できない場合は罰金です。その監視のため軍、警察が銃を持って巡回しています。レストランの店内営業は禁止、テイクアウト又はデリバリーサービス対応のお店のみ営業しています。ハンガリーは温泉大国でもありますがその温泉も閉鎖中です。やはり銃を持った人を見ると驚きを隠せないです。
ーこの時期、新しく始めたこと/日々の楽しみは?
新しく譜読みを始めた曲、来たるコンサートのプログラムの勉強で新しい発見をしています。日々の楽しみを見出すのには苦労していますがYou Tubeで日本のお笑いを見て笑うことの大事さを感じています。笑う事は免疫を高めるとも言いますので。
ー次回日本に演奏会に来られるときに、絶対やりたいことは?一番恋しいことは?
いつも日本での楽しみは最高の日本食です。私は特にお寿司が大好きです。ハンガリーには海は無くドナウ川とバラトン湖があるのみです。ハンガリーの川魚料理ももちろん美味しいですがやはり新鮮な日本のお寿司に勝るものはないと感じております。ナマズや鯉のお料理はハンガリーで戴くことができます。
イタリアやクロアチアから陸路などで新鮮な魚が入ってきてはいますがハンガリーでは輸入品になりますので高値がついてしまいます。普通のスーパーにはサーモンが真空パックで少し置いてある程度です。
ーありがとうございます!最後に、お気に入り写真を1枚ください!
写真は何度見ても飽きないブダペストの夜景です。コンサートやレッスンの帰りに毎日見ています。この夜景に癒やされます。
ー向田さんよりメッセージ
2回の延期を経て2021年9月4日(土曜日)オール・ショパン・プログラムにてピアノリサイタルを開催させて頂きます。英雄ポロネーズや革命エチュードの他、数々のショパンの名曲を取り上げさせて頂きます。皆様と会場でお会いできますことを楽しみに準備してまいります。
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Vol.2も準備ができ次第、公開いたします。
読んで頂き、ありがとうございました!
(ひろた)