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ドイツの研究者が発表「クラシックコンサートに於けるウィルス感染は、コントロール可能」



ヨーロッパでも再び感染者が増加していますが、バイエルンの研究者たちが「クラシックの生コンサートは、例え管楽器を含むものであっても、地下鉄に乗るより安全性が高い」と発表をしました。

ウィルス感染の大半は、粒の大きな飛沫(咳、くしゃみ等)を「近距離」で受けた時に起こるといいます。
これまで、オーケストラのメンバーの間でも2メートル以上の距離を取らなければ空気感染するとされており、ソーシャルディスタンスの確保が課題となっていました。


しかしミュンヘン(バイエルン州)のルートヴィヒ・マクシミリアン大学とエアランゲン大学、そしてバイエルン放送交響楽団が共同で研究を重ねた結果、今回の結論に至ったとのこと。


実験の方法は、こう。
一人一人の演奏家がニコチン無しの電子タバコの煙を吸い込んだ上で、暗室で演奏。空気の流れを可視化し、特殊なカメラやレーザー機を用いて分析するというもの。
すると空気中に含まれる飛沫は科学者たちが予測していたよりも飛ぶ力は弱く、正面には2メートル以内、左右については1.5メートルに達することはなかったそうです。

管楽器は危険と考えられていましたが、ほとんどの楽器は飛沫を楽器の内側に留まらせるような仕組みになっていることがわかり、特にトランペットについてはほとんど外に向かって飛沫が飛ぶことはないそうです。



また、以前バイエルン放送合唱団が同じく電子タバコの煙を吸い込んで合唱時の飛沫の流れを実験しましたが、この時も『歓喜の歌』のクライマックスであっても正面に向かって飛沫が1.5メートルを越して飛ぶことはなかったそうです。

フルートについては、飛沫の距離が他の楽器に比べて長いそうなので、注意が必要とのことですが、今回の実験で科学者たちはこう結論づけました。

「楽器演奏は、私達が予測していたよりよほど、危険度が低いことがわかりました。音楽家同士の演奏時の距離を縮めて頂いて構いません。
ベートーヴェンは完全に演奏可能。ただマーラーはもう少し待った方が良い。」


専門家による実験でこのような結論が出されたことは喜ばしい限りです。

しかしながら、コンサートに出かける為には地下鉄等の公共交通機関を利用することも多いですし、道中混みあう場所を通過しなければならないかもしれません。

わたしたちも引き続き感染対策を徹底しながら、安心して生演奏を楽しめる環境づくりに努めて参りたいと思います。

参照:アイリッシュ・タイムズ紙

【後日談】

本ブログ記事の参照元であったアイリッシュ・タイムズ紙の内容に、元記事と思われる記事(BR Klassik)とは異なる内容が書かれているとのご指摘を頂きましたので、お知らせとお詫びをいたします。

日本でも同じように演奏時の飛沫について調べる実験は繰り返されており、それを基にしたガイドラインで大編成も大丈夫。ということでオーケストラは活動をしています。それ自体を否定する意図は全くありません。

この、いささか楽観視が過ぎると思われるアイリッシュ紙をご紹介した理由は2つ。
一つ目は、特定の楽器(特に歌など)だけを危険視することを少しでも緩和してあげたかったこと。
二つ目に、聴衆の皆様に“コンサートは比較的安全なんだ”と安心して頂きたかったこと。

そして、少しでも音楽関係の明るいニュースをお届けしたかった、ということも付け加えておきます。

「舞台上で、○.○m開ければ安全」
「この楽器の方が、あの楽器より危ない」

ネットで探せば世界各国の様々な記事が出てきますが、
0.5mを空ける・空けない、で感染の明暗は分かれるのでしょうか。
演奏後の狭い舞台袖や楽屋でのおしゃべり、食事の方が感染リスクが高いこともあるのかもしれません。
(もちろん演奏者に限らず我々スタッフの行動も同様に、です。)
特に、各所スペースが限られている狭い宗次ホールでは、その辺りもしっかり頭に入れ、
我々音楽を提供する側も日々対策を講じていかなれば、と感じています。





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