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開催を断念した未発売公演たち(続)



というわけで、みなさまこんにちは。

長梅雨からの猛暑、そして気がつけば晩夏、空の雲をみていると秋の気配も感じられるようになりました。相変わらず新型コロナウィルスの影響は続いておりますが、宗次ホールでは7月と8月、それぞれ26公演を開催することができました。コンサートホールで音楽鑑賞することの感染リスクは低い、とする調査結果が様々な形でリリースされていますが、とはいえ、ゼロではありません。演奏者には本番中マスクを外していただいていますし、万が一ウィルスを保持している方とうっかりそのまま近距離での会話がはずんでしまうことだって無いとは言い切れません。

そこで、上の写真・・・これは舞台袖に設けた即席「マスクハンガー」です。ホール内の動線等の表示のための看板の首が折れた廃材の再利用。演奏者は出演ギリギリまでマスクを付けていただいて、本番前にここに引っ掛けて舞台へ。演奏が終わったら速やかにマスクを付けて・・・とご協力いただいています。大体演奏を終えた後の演奏者さんって、演奏後のハイテンションのまま「すごくうまく行ったね!」「うゎー失敗した!」「fyづ$しrbdすあ#bぃ!!!」と舞台袖で盛り上がることが多いものですから。

さて、6月にこのブログに掲載した「開催予定だったがボツになってしまった公演」ですが、残念ながらその後も増え続けています。特に海外からの招聘アーティストについては、なかなか渡航の制限が解除される気配がない中では、いたずらに引っ張ってはいられないという事もあって、ここへ来て一気に来日そのものを見送るアーティストが増えました。下記をご覧ください。

10月1日(木)スティーヴン・ミード&外囿祥一郎 (ユーフォニアム・デュオ)
 ​⇒10月11日(日)に外囿祥一郎ユーフォニアム・リサイタルを開催します。​
10月4日(日)アレクサンダー・コブリン(ピアノ)
10月8日(木)フォーレ四重奏団
10月11日(日)プラジャーク弦楽四重奏団
10月24日(土) ロータス・カルテット

 ⇒来日できないメンバー1名以外で「弦楽三重奏」として開催します
10月25日(日)ハバネラ・サクソフォン・カルテット
10月26日(月) 浜まゆみ(マリンバ)&クリス・フロー(パーカッション)
 ⇒11月1日(日)にクリス・フロー を新居由佳梨 (ピアノ)に替えて開催します。
11月2日(月)ミロ・カルテット
11月12日(木)第11回「四季の日」コンサート
11月25日(水)ジャン=ジャック・カントロフ(ヴァイオリン)
12月2日(水)フランシスコ・フラナ (ヴァイオリン)
12月5日(土)クリスチャン・レオッタ (ピアノ)
12月6日(日)ディートリヒ・ヘンシェル (バリトン)



それにしても渡航の制限が緩和されたとしても、客席はまだ座席数の半分を目安にという状況。この座席の制約は10月から(早ければ状況をみて9月中にも)緩和という政府の発表もありましたが、しかし6月からこれまで、当館においてもキャパ約300席の半数の150席で「座席が足りなくて困ります」という公演がいくつあったことか・・・。いま「定員制限の緩和を!」と業界団体が政府に働きかけをしてくださっていることに感謝の気持ちがないわけではありませんが、妙に白けた気分になってしまうのは、“渡航の制約が解かれ、すべての座席が使用できるようになれば一件落着” なんて全くあり得ないことを痛感するからです。

当館でも、今の来場者数とそこで得られる入場料収入をベースに考慮すれば、基本ここ1~2年は「赤字覚悟でこのアーティストを呼ぼう!」という挑戦はきわめてシビア、というのが率直なところ。「今までもそんなに満席を連発していたわけじゃないでしょうが」というお声もあるかもしれませんが、実際6月に再開してからこれまで、平均来場者数が昨年に比べて軽く半減するインパクトは、それほどまでに大きいものがあります。

特に平日のコンサートは厳しいですね。平日午後の「スイーツタイムコンサート」など、お客様の平均年齢も比較的高めで、まさに感染した場合の重篤化しやすいとされる世代でいらっしゃる。ホールで演奏を聴いている間は良かったとしても、その前後の行き帰りに感染してしまったら・・・と考える方も多いと思います。

今後は、幅広い世代の方に足を運んでいただきやすい土休日を中心にした公演プランの策定を急ぐとともに、土休日で海外アーティストの公演が抜けたところに、もともと平日に予定されていた公演を移動させたり、「いきなり」「きまぐれ」なコンサートをいれたり・・・ということも検討していく予定です。そして(これが一番大切なことですが)、今一度、録音や録画、配信とは違う「生のコンサートの良さ・魅力」に価値を見出してくださる方々をいかにして増やしていくか・・・。春先に「音楽は不要不急」という言説があちこちで見られた状況について、コンサートの創り手として、考え続けていかなければならないと思います。

こんな状況ですが、よかったら是非、ご来場ください。生演奏は、聴けばやっぱり、心が動きますから。




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