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消費税カットで、コンサートチケットも安くなるのか?(英国)



ロックダウン後のイギリスで、ちょっと明るいニュース

7月8日、イギリスでは消費税(VAT=付加価値税。日本の消費税に相当)を今後半年間(7/15~2021年1/12)に渡り、20%から5%に引き下げると発表がありました。この減税は飲食店や旅行業界など新型コロナウィルスの影響が大きい業種が対象であり、劇場・コンサートホールやサーカス、アミューズメント・パーク、美術館なども含まれるそうです。

減税に加え、イギリス政府は芸術支援に巨額の緊急補助金を

ロイヤル・オペラ・ハウスやロイヤル・アルバート・ホール等イギリス各地の由緒ある劇場やコンサートホールは破産の危機に直面していました。そんな中、イギリス政府は文化施設を救済するために、約15億7000ポンド(約2100億円!)もの支援策を発表したばかり。この支援先にはミニシアターや歴史遺産、ライブハウスなども含まれるとのことです。

オリヴァー・ダウデン文化相:
「芸術と文化はこの国の魂、この国を偉大にするものだ。将来世代のため、芸術分野を保護し、出来るだけ守らなければならない。」

この補助金の受取を希望する施設は、どのように経済成長に貢献するかを示さなければならないとしながらも、未だ政府はどのようにこの資金を分配するかなどの詳細は決めていないとのことです。

イギリス内での、フェーズ毎の劇場向けのガイダンス(ロード・マップ)は一応発表されているようですが、この緊急補助金の件が発表される前には、音楽業界から政府の対応の遅さについて
「(支援金がないならば)支援なんてただのリップサービスではないか。」と批判の声が挙がっていたのでした。

宗次ホールに一昨年出演されたショーン・シベさんからも辛口コメントが。


シベ:
“意味のないロード・マップの話はもうやめてくれよ!現金注入を頼むよ。”

減税は、公演チケットの代金にどのような影響が・・・?

オリバー・ダウデン下院議員は「劇場や美術館へのチケット代について減税となる。」と述べていました。

これを聞くと、今までよりも安く演劇などを鑑賞できるのかと受取ってしまいますが、果たしてそうなのでしょうか?。。。
イギリスでは大半の文化事業が、その入場券において“VAT適用外”だそうですし、支援金は苦境に喘ぐそれぞれの団体にとって貴重な収入となるでしょう。
そのうえ、客席をフルに埋めることが出来ない今の時期、チケット収入も当然のごとく激減します。

もちろん政府からの支援金が一部の事業者や音楽家のにとって大きな助けになることは確かですが、“ライブ活動が出来ず、オンラインコンサートが主流となっている今、減税だけでは一時的な凌ぎにしかならない。音楽業界が再建を果たすには、向こう12か月、VATを完全に廃止するくらいの措置を講じなければ。”との意見も既に出ています。(Incorporated Society of Musicians、イギリスの非営利団体より。)

さて、今後どうなっていくのか・・・
それにしても、色々な意見はあれど、これだけの金額を文化事業につぎ込むイギリスはすごい、の一言です。


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