名古屋二期会《歌ざんまい》vol.12 奥村晃平 バリトン・リサイタル

「冬の旅」 との出会い

シューベルトの生家はウィーンの北西部に位置する。大学の冬休みのある日に家族で散策に出かけ、迷い込んだ先はある小高い丘でした。眼下には墓場が見え、天空には沢山のカラスが舞っていた。急に空は灰色となり、足下は凍え込み、視界が遮られると一羽のカラスが私の目の前を威嚇するが如く凄い勢いで飛んで行った。
一瞬脳裏に冬の旅の様々なメロディが浮かんできたのです。
まるでタイムスリップしたかのようでした。
感動して家路につき地図をみると正にシューベルトの生家を見渡せる丘でした。

奧村晃平（バリトン） Kohei Okumura, Bariton
　愛知県立芸術大学音楽学部声楽科卒業。同大学大学院音楽研究科(声楽専攻)修了(石津憲一氏に師事)。同大学大学院オペラ科研修生修了。ウィーンに留学。ウィーン国立音楽大学リート科卒業(ヴェルバ氏に師事)。同大学特別生修了(ハンス・ホッター氏に師事)。ウィーン・シェーンブルン歌劇場「フィガロの結婚」の伯爵役、ブラームスザールにて出演(日本大使館主催)、イタリアのモデナ、ローマにてベルカント唱法を学ぶ(アリーゴ・ポーラ、ゴンザーガ、レンダ、ヴァレンティーニの各氏に師事)。
　平成13年度、東海地方を代表するバリトン歌手として高く評価され、愛知県芸術文化選奨文化賞を受賞する。日本歌曲コンクール声楽部門第2位、ウィーンでの声楽コンクール第2位、イタリア声楽コンコルソ入選。
　オペラ「魔笛」「ドン・ジョバンニ」「宗春」「ちゃんちき」等多数のタイトルロールを演じ、ローマ・マルチェロ野外劇場、あいちトリエンナーレ、名古屋市民芸術祭等のリサイタルは30回以上に及び、音楽現代誌にて「楽しめる舞台と歌を作り上げる貴重な歌手、秀逸な歌手」との評価を得る。
　シューベルト「冬の旅」「美しき水車小屋の娘」日本歌曲「まほろばの響き」のCDはレコード芸術誌にて高い評価を得ている。
　愛知県立芸術大学、名古屋音楽大学にて後進の指導を経て、現在、名古屋音楽学校にてベルカント唱法を指導する。名古屋二期会名誉理事長。名古屋音楽学校特別講師、日本演奏連盟会員。新波の会日本歌曲振興会会員。

奧村那月（ピアノ） Natsuki Okumura, Piano
　1979年~1981年の3年間、父、奧村晃平とウィーンにて過ごす。
　6歳よりピアノを始める。名古屋市立菊里高等学校音楽科卒業。愛知県立芸術大学音楽学部器楽科ピアノ専攻卒業。在学中、愛知県立芸術大学・大学院オペラ研究、重唱等の学生ピアノ助手を努める。
　2000年よりピッコロオペラのピアニストを務め、「フィガロの結婚」「コシ・ファン・トゥッテ」「アメリア舞踏会へ行く」等多数の演目を演奏する。また、声楽を中心に合唱、弦楽器の伴奏者として、各種のコンサートに多数出演する。
　逢阪由木帆、佐野翠、定行和子、水本雄三の各氏に師事。