2019.9.29 アンドレイ・ググニン ピアノリサイタル
優れた才能が続々と登場するロシアのピアノ界。
彼らの演奏に接していると
「このレベルの猛者たちがゴロゴロいるのか!?」と驚いてしまいますが
ググニンさんもまたそんな一人。
この日のプログラムは20世紀初頭に活躍した
超絶技巧派天才ピアニスト、ゴドフスキに対して捧げられた作品を集めた、
ちょっと普通じゃないプログラム。
ゴドフスキといえばショパンの練習曲を普通でも難しいのに
左手だけで演奏する編曲版を作ったことなどでも知られていますから、
そんな彼に捧げられたというだけで難易度は推して知るべし。
しかしただただ難しいというだけではなく、
この時代のサロン文化にマッチした、趣味の良いロマンティックで華やかな小品は
技巧の難しさを外に出さず、さらっと演奏してこそ粋というもの。
軽妙で正確な打鍵、そして徹底した脱力から生み出される深い響き。
ググニンさんの演奏はまさにこのような作品の魅力を味わうに
まさにうってつけではなかったでしょうか。
同行者なしで、ひとり東京から名古屋に移動し、
そして公演翌朝は一人でバスに乗って空港に行き、帰国したググニンさん。
その行動力も演奏同様、実にスマートでありました。