五島史誉 ピアノ・リサイタル

五島史誉（ピアノ）Fumiyo Goshima,Piano
　東京藝術大学音楽学部附属音楽高校を経て、同大学器楽科卒業。ドイツ・フォルクヴァング音楽大学卒業。その後、イタリア・イモラ音楽院フォルテピアノ科において研鑽を積む。
　カッシーナ・デ・ペッキ国際ピアノコンクール、フィリッポ・トレビザーン国際ピアノコンクール両コンクールにおいて第２位受賞。これまでにピアノを服部浩美、平野燁子、笠間春子、辛島輝治、アルヌルフ・フォン・アルニムの各氏に、フォルテピアノをステファノ・フィウッツィに師事。現在、東海地方を中心に演奏活動をおこなっている。ソロだけでなく、室内楽においても意欲的に活動、2018年にはモーツァルトピアノ協奏曲20～27番（８曲）をラッハナー編曲室内楽版で2日に渡って演奏し好評を博した。
　現在、名古屋音楽大学、および岐阜聖徳学園短期大学部非常勤講師を務め、後進の育成にも力を注いでいる。レコーデングにも力を入れており、「In der Nacht」「Appassionata」をReal Aria レーベルからリリース。2017年にはフランスにてヴァイオリニスト マリー･カンタグリルと共にブラームスヴァイオリンソナタ全曲の録音をしている。2017年度名古屋市民芸術祭特別賞受賞。

五島史誉 公式ホームページ：fumiyo-goshima.com

　2019年9月以来、久しぶりに宗次ホールでリサイタルをさせていただくことになり、またあの舞台に立てることをとても嬉しく思っております。
　これまであまり公にしてきませんでしたが、実は2015年にベートーヴェンのソナタ『熱情』を宗次ホールで演奏した頃から、右手に違和感を感じ、ピアノを弾こうとすると意に反して右手薬指が内側に強く巻き込むという症状が出るようになり｢フォーカル･ジストニア｣と診断されました。脳の誤作動により演奏が困難になる、いわゆる職業病です。だましだまし演奏活動を続けていたものの、このままでは本当に弾けなくなってしまうのではないか、と不安を抱えながらの日々。そして2020年、コロナ禍で世界の動きがストップするのと同時に、演奏活動を一旦休止する決断をし、信頼する先生の元リハビリを始めました。それから3年の時を経て、今、両手でリサイタルができるまでに復活したのです。ジストニアになったからこそ得られたものは本当に多く、今では新たな感覚で自分の音と向き合うことができています。
　今回のリサイタルでは、強い思い入れのあるベートーヴェン、リハビリ中いつも心の支えだったバッハ、私の手にしっくりくるリストの作品をプログラムに選びました。プログラムの最後にベートーヴェンのソナタ第23番｢熱情｣を演奏します。
　2015年に宗次ホールで演奏してから8年の時を経て、再び『熱情』を。
　五島史誉の進化を、ぜひ宗次ホールの会場でお聴きいただけたら幸いです。
五島 史誉