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11/3 ソレイユ・ルヴァン 植野真知子さん インタビュー


楽器が教えてくれた“アナログに生きる”大切さ
バロック・オーボエ奏者 植野真知子さん インタビュー

フランスのバロック音楽が専門のグループ「ソレイユ・ルヴァン」の音楽監督



植野さんは、日本音楽コンクールで第3位を受賞後にバロック・オーボエに出会い、

一念発起してフランスへ。

そしてそのままフランスが誇る世界最高峰のバロック・オーケストラ「レザール・フロリッサン」の団員として、20年以上も活躍されている方です。

このたび4年ぶりに自身が率いるバロック音楽グループ「ソレイユ・ルヴァン」とともに来演が決定。

植野さんがバロック音楽に導かれた経緯、そしてその魅力などを伺いました。

(宗次ホール:西野裕之)




オーボエとの出会い

○植野さんの音楽との出会い、オーボエを始めたきっかけは何だったのですか?

●小さいころから「木に穴のあいた笛を吹きたい!」という欲求が強かったんです。

母がソプラノ歌手でしたし音楽そのものには物心ついた時から接していました。

テレビでオーケストラを見ていると、

管楽器のソロ、特にオーボエはいつも美味しいメロディーを吹いていて

「かっこいいなぁ!」と思っていました。


○本格的にオーボエをしっかり習って音楽の道に進もうと決めたのはいつ頃だったのですか?

●オーボエを始めたのは中学2年の3学期からで、

すでに始めたときから「追求する」という思いを持っていました。

最初に手ほどきをしてくださった先生が

素晴らしいオーケストラ・プレイヤーだったことも大きな理由です。


○となるとオーボエを始めてから1年足らずで

音楽高校を受験して見事合格されたんですね!

そういえばここにこんな写真もあります。

これは学生時代に

日本音楽コンクールで第3位を受賞されたときの雑誌の記事から

持ってきたのですが。



ソレイユ・ルヴァン写真1

(植野さんが中央で、左が雲井雅人さん(第3位)で、

右が11月に宗次ホールに出演される須川展也さん(第2位)、

いずれもサクソフォン奏者。)

 ●「音楽の友」でしょうか。それにしても古い記事を探してこられましたね(笑)!

皆さん若いーっ!

この時のコンクールでは、ヴァイオリンなら竹澤恭子さん(第1位)、漆原朝子さん(第2位)、

ピアノでは仲道郁代さん(第1位)、若林顕さん(第2位)など、

今もご活躍の方が大勢いらっしゃいます。素晴らしいことですね。



バロック・オーボエの道へ…

○さて、学生時代まではいわゆる「普通のオーボエ」をされていた植野さんですが、

バロック・オーボエに転向したのは、どういうきっかけがあったのですか?

●自分で言うのもおこがましいですが、

「普通のオーボエ」をあまり苦労することなく吹けてたんですよね。

偉そうですみません(笑)。

ところが、ある時バロック・オーボエを吹いてみたら、

自分の中の「これぐらいは吹けるはず」というのが全く通用しなかった。

愕然としましたよ。

そこで「このオーボエのご先祖様を吹けないで 『オーボエ吹き』 だなんて言えない!」

と思ったのです。


○バロック・オーボエの何がそんなに難しいのですか?

●現代のオーボエはムラなく平均的な音程で演奏しやすいように、

様々な機能が追加されています。

が、バロック・オーボエはシンプルな構造ゆえ楽器が助けてくれません。

息のスピードや圧力など演奏者側で微細にコントロールする必要があります。

さらに、温度・湿度などによる変化を受けやすい気まぐれな性格も…。

ただ、やはりバロック音楽を演奏する際は、

バロック・オーボエの方がしっくりきます。

むしろ今の楽器が「ハイテク」過ぎる気さえするほどです。


○そこからバロック・オーボエにのめり込んだと。

●直ちにすべてのスケジュールを白紙にして、仕事を人に代わってもらい、

一日中楽器と格闘しました。

そこから長く苦しい道のりが始まる、とはこの時点では知る由もなく。

元来の負けず嫌いも大いに作用して、「くそぉ!なんで吹けないんだー?!」っていう。

いやぁ、それほどまでに何も吹けなかった。

大学を卒業してすぐの春でした。


○その後フランスへ留学されることになったわけですが、

フランスで勉強しようと決めた理由は?

●留学地を探してヨーロッパ各地を巡っていた時、

パリで、その後所属することになるバロック・オーケストラ「レザール・フロリッサン」の音楽監督のウィリアム・クリスティが指揮するバロック・オペラの舞台を観て、

「これをやる!」と瞬時に決めました。

他の手段と比べてみるとか、じっくり検討してみるとか、一切無かったです。

これもまたバロック・オーボエと同じように衝撃的な出会いでした、

クリスティにも、そしてフランス・バロックにも。

そこからレザール・フロリッサンのCDを聴きまくりました。

細胞の隅々にまで浸透していくのにそう時間はかかりませんでした。

とにかく魅力的でした。


○そしてその後、憧れたレザール・フロリッサンのメンバーになって夢を実現されたわけですね。

●そうですね。

クリスティの音楽創造現場にたずさわって今年で25年目になります。

おそらく私が最も影響を受けた音楽家でしょうね。


フランスのバロックの魅力とは?

○ところで、日本においてはバロック音楽というと、

一般的にバッハやヴィヴァルディのイメージが圧倒的で、

あまりフランスのバロック音楽に対して「これだ」というイメージを

皆さんお持ちでないと思うのですが・・・。

●実は、音楽だけでなく、絵画でも、それからお料理なんかでも言えますけれど、

「お国柄」というのがあるものなんです。

それは昨日今日始まったものではない部分です。

イタリア料理やドイツ料理、そしてフランス料理、

これらをざっと並べただけでもそれぞれ全然違いますでしょう?


○だとしたらフランス料理の国のバロック音楽はとても素敵なものでしょうね?

●実際にコンサートに足をお運びいただいて、

お客様に感じとっていただくのが一番確かです。

フランス・バロック、ものすごく美味しいですよ。


バロック音楽と25年を過ごして…

○さて、植野さんの音楽活動について、

ソレイユ・ルヴァンはもちろん、

他にも特に力を入れていることなどありますか?

●レザール・フロリッサンでの演奏活動と並行して、

ソレイユ・ルヴァンの活動は私にとってとても大事な部分です。

更に近年は次世代の育成にも力を入れています。

若い時は自分が「教える」現場にいることなんて想像してなかったし興味もありませんでした。

ですが、ヨーロッパで私を育ててもらった環境を考えると、

それを次の世代にも伝えたい、と強く思うようになってきたのです。

それだけ「貰ってきたもの」が大きいんだなと。

数年前から若手歌手を何人か教えているのですが、

これなどはまったくクリスティの影響ですね。

彼はもともとはチェンバロ弾きですが、

どれだけ優秀なバロック歌手を育ててきたか!

その殆どの現場に居合わせてきたことが

私の財産になっているというわけです。


○今回のソレイユ・ルヴァンの公演でも新たに若手の歌い手さんを起用されますね?

●ソレイユ・ルヴァンでは、

私が信頼を置くベテラン演奏家と同時に、

将来性のある、なにか輝く要素を持っている若手の皆さんをどんどん起用しています。

器楽、声楽、問いません。

演奏家として既に完成した人たちとのアンサンブルはもちろん素晴らしい世界を創れるのですが、

私にとってのソレイユはある意味、

クリスティにとってのレザール・フロリッサンと同じ。

私自身の音楽創造体であり、

同時に若手育成機関でもある、という位置づけです。


○今回のメンバーについて一言ずつご紹介をお願いします。
●はい。

旗揚げ公演の時から全公演で弾いてくれているヴィオラ・ダ・ガンバの西谷くんは、

ソレイユのサウンドにはなくてはならない存在。

フルート・トラヴェルソのジャック=アントワーヌはその人柄通りの温かい演奏をする人。

ヴァイオリンのリヴはソレイユ初参加ですが彼女も誠実で知的な演奏をします。

チェンバロの曽根田くんは私が注目している若手。

綺麗な音色を持っていて、しかもまだ伸びしろがあります。

あと私の弟子たち二人、ソプラノの坂本さんと和田さん。

持って生まれた声がとても魅力的で、

きっと将来、素敵な花を咲かせるに違いないと、

今まさに一生懸命育てているところです。

このメンバー相互に化学反応が起き、

1+1が2ではなく5や10になっていく。

そこに私も身を置いて、まだまだ成長していきたいと思っています。


バロック・オーボエが生き方にも影響

○最後に、植野さんのお話を伺っていると強いこだわりや信念というものを強く感じるのですが、

日々の生活の中で演奏のために心がけていることはありますか?

●自分の中に取り込む物にはけっこう気を付けてます。

一番わかりやすいのが「食事」ですね。食材といいますか。

添加物や保存料は徹底的に避けてます。

なんといっても不味いです(笑)。

それとも関係しますが、とにかく健康第一。

ヨーロッパでは団体行動での演奏旅行も多く、

様々な環境に対応しなくてはなりません。

移動中やホテルでの様々なグッズ、長年の経験を駆使し、

とにかく最高のコンディションで舞台に立てるよう、注意を払っています。


○「食事」以外にも取り込むもので気を付けているものは?

●身体だけではなく精神というか感覚の方も、

自分の信じることをしっかり保つ努力はしています。

これは「どんな生き方をするか」ということに直結してくる話ですね。

一言でいえば「アナログに生きる」。

これはバロック・オーボエのように、

機能や便利さとは無縁の楽器と付き合ったことによって教えられたことでもあります。

もちろんこのご時世で全てをやろうとするのは無理ですが、できるだけ。

ひとつひとつのことに「手間ひまを惜しまない」ということを心がけています、

演奏に限った話ではなく、生活の中の色々なことにです。

でも難しいことではなくて、

単純に、断然その方が私には心地良いからそうしているんですよ。



ソレイユ・ルヴァン写真2

▲バロック・オーボエの例(左・中)と現代のオーボエ(右)





ソレイユ・ルヴァンちらし表



ソレイユ・ルヴァンちらし裏



11/3(木祝)  15:00開演

ソレイユ・ルヴァン
~植野真知子と仲間たち~

一般4,000円  学生2,400円

(中学生~25歳以下の学生さんには、

1000円のキャッシュバックあり

⇒ 学生アシスト1000

(「アシスト1000」 学生さんへ 1000円のキャッシュバック!  )



チケットは、宗次ホールチケットセンターまでお電話で♫


☏ 052-265-1718
(営業時間 10:00~18:00 )



チケットぴあ等、各プレイガイドでも好評発売中です。

(チケットぴあ、名鉄ホールチケットセンターはインターネットでのご購入も可能です)。

チケットぴあ :0570-02-9999

♫ 愛知芸術文化センタープレイガイド:052-972-0430

♫ 栄プレチケ92(旧三越(栄)プレイガイド):052-953-0777

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