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若手チェリスト4人の響炎「クァルテット・エクスプローチェ」


同じ楽器だけを集めたアンサンブルは珍しいものですが、
チェロには「ベルリン・フィル12人のチェリスト」や、
日本でもN響の奏者による「ラ・クァルティーナ」など、
それなりに多くの団体が存在しています。

なんと言っても通常でもオクターブ、
さらに技術を持ってすればオクターブという
幅広い音域をカバーできる楽器の特性が、それを可能にしているのですが、
1台でも存在感のあるチェロがずらっと並んだ見栄えもなかなかです。

まもなく来演する「クァルテット・エクスプローチェ」の
森山さんに、チェロ・アンサンブルの魅力や、今回の演奏会の聴きどころを伺いました。

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2013年末、大学時代から気心の知れた4人で結成。
枠に収まりきらない爆発的なアンサンブルを目指すこととし「explode(爆発)」、
積極的に様々なジャンルのプログラムを取り入れる意味で「explore(探険)」
この2つの思いにローチェ(celloをもじった業界用語)を組み合わせて“Explloce”と命名!!!
旗揚げ公演となる2014年は福岡・北九州・松山・名古屋・東京の6ヵ所で
アフィニス文化財団の助成を受け開催。
コンサートだけでなく、アウトリーチなどの社会福祉活動も積極的に行う。

森山涼介:東京都交響楽団
高木慶太:読売日本交響楽団
市 寛也:NHK交響楽団
辻本 玲:日本フィル ソロチェリスト


 * * * *

■(宗次ホール/西野)
まずは森山さんご自身のことについて伺いますが、そもそもチェロを始めたきっかけは?

□(森山)
幼稚園での音楽鑑賞教室がきっかけです。
そこで聴いたヴァイオリンに惹かれて、家に帰るなり母に弦楽器を習いたいと言ったんです。
そしてヴァイオリン教室に見学に行ったらヴァイオリンがしっくり来なくて、
そこで先生がチェロを薦めてくださったのです。

■その先生のお陰で今がある、ということですね。
そしてチェリストになるんだ、と決めたのはいつ頃のことだったんですか?

□習い始めた頃からもう漠然とチェリストになりたい、と思ってました。

■先生も先生ですが、森山さんも凄い・・・。

□ただし本格的に考え出したのはもっと後ですよ。
中学3年のときに音楽高校を受験しようと決意した時です。はっきりと意識したのは。
残念ながらその受験は不合格でしたが(苦笑)。

■しかしその後東京藝術大学に進まれたわけで・・・。
そういえば今回のメンバーは大学時代の仲間で結成されたということですが、
その辺りの経緯を教えてください。

□市さんと辻本さんはどちらも私にとって東京藝術大学の2年上の先輩で、
大学時代から親しい間柄なんです。
一昨年、市さんが主催する「楽市楽座」という演奏会でチェロ四重奏の共演をした際に、
「この先もこのメンバーで継続して活動をしていきたい」という話が出てきて、
それが結成のきっかけです。
ただ、どうしてもそのままのメンバーでは都合が合わなくて・・・
そこで、皆と親交のあった同世代の高木さんに加わってもらって
今のQuartet Explloceが出来上がりました。

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■昨年、名古屋を含め初の全国でツアーを開催してますが、 手ごたえはいかがでしたか?

□昨年の夏にメンバーの地元と縁のある場所を選んで、
福岡・北九州・松山・大阪・名古屋・東京と6箇所でコンサートを開催しました。
これがありがたくも各地で評判になりまして、
今年は新たな地でもコンサートを開かせていただきます。
また、コンサートの合間に老人ホーム等の施設に
アウトリーチ演奏に伺う予定も組んでいます。

■チェロだけのアンサンブルというと
真っ先に「ベルリン・フィル 12人のチェリスト」が思い浮かぶんですが、
チェロだけのアンサンブルの魅力って、ズバリどんなところでしょうか?

□チェロの魅力はなんといっても奥深い音色です。
その音色が重なり合って生まれる重厚な響きは
チェロ・アンサンブル特有のものだと思います。
チェロは音域の広い楽器ですから、
同じ楽器だけで集まってもかなり色々なことができます。
そして同じ楽器だけということは、音がまとまりやすくなる効果もあります。
もちろんそういった「まとまりやすさ」だけではなく、
奏者によって、そして使用している楽器の特性による
音色や表現の微妙な違いも同時に魅力です。

■クァルテット・エクスプローチェでは、
メンバーが様々なパートを入れ替わりながら演奏するんでしたね?
それはみんなやっぱりメロディーは平等に回そうとか?

□それもそうですが、やはり曲によって誰がメロディーで誰がベースラインか、といったことが
変わった方がそれぞれの奏者の個性をお楽しみいただけるのではないかと思います。

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■この4人の中で誰がリーダーとか、そういったことってあるんですか?

□特に誰がリーダーということは決めていないです。
後から加入した高木さんだけが桐朋学園の出身ですが、
他の3人とも結成以前から講習会や演奏会を通して親しくしてましたし、
皆、気心が知れた仲間です。
基本的には和気あいあいとした雰囲気でリハーサルしています。
皆さん素晴らしい演奏者ですから、毎回の練習の中で刺激をもらいます。

■2回目となる今回のツアーの曲目、その聴きどころはどんなところでしょう?

□基本的には昨年と同様「チェロという楽器の魅力と可能性をお客様に伝えたい、
そして楽しんでもらいたい」ということで、
クラシックの名曲から、タンゴや映画音楽に至るまで、
バラエティーに富んだ選曲です。
クラシックの部分で目玉なのは、ストラヴィンスキーの「イタリア組曲」。
この曲はもともと「プルチネルラ」というバレエ音楽で、
しかもバロック音楽を元にしているとても聴きやすい作品です。
作曲者自身がチェロとピアノのためにも編曲していますが、
今回チェロ4人という編成で一体どんな風になるのか、是非聴いていただきたいです。
この曲もそうですが、チェロ四重奏のために書かれた作品というのはそう多くはないので、
今回のプログラムの大半はメンバーが信頼を置く
チェリスト兼編曲家の小林幸太郎さんにアレンジを依頼したものです。

■昨年のツアーでも取り上げていた
バッハの「シャコンヌ」が今年もまた取り上げられていますね。
これも何か意図があるんですか?

□「シャコンヌ」はクァルテット・エクスプローチェの今を聴いていただくという上で、
これからも毎年取り組んでいこうと思っている作品です。

■なるほど、このグループの定番にしていこうという訳ですね。
逆にこれから新たにこんなものに取り組んでいこうというものは?

□そうですね・・・
まずは、メンバーそれぞれがオーケストラでの活動を行なっているので、
頻繁な活動はできませんが、これからも毎年1回はツアーを行い、
できればそれにプラスアルファの演奏機会も持ちたいと思っています。
チェロ四重奏のための作品が多くは無いとはいえ、
まだまだやりたい曲は沢山あります。
また、チェロ四重奏に編曲することによって
新しい魅力を感じていただける曲を探して取り上げてもいきたいです。
そして、クァルテット・エクスプローチェのためのオリジナル曲も
レパートリーに加えたいと思っています。

■最後にお客様へのメッセージをお願いします。

□私が愛知県豊田市の出身であることもあり、
宗次ホールでは何度か演奏させていただいていますが、
この4人として素晴らしい響きのホールで演奏できることをとても嬉しく思っています。
お客様にも是非 Quartet Explloceならではの響きをお楽しみいただきたいです。

チェロの魅力が爆発する、気鋭の若手4人の響炎!
クァルテット・エクスプローチェ


【プログラム】
J.S.バッハ:シャコンヌ
ストラヴィンスキー:イタリア組曲
モリコーネ:ニュー・シネマ・パラダイス より
ピアソラ:悪魔のロマンス    ほか


8月6日(木)18:45開演(18:00開場)
一般:3,500円 学生2,100円 [自由席/一部指定]
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ご予約は宗次ホールチケットセンターへ 
☎052-265-1718(毎日10:00~18:00 )


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