新シリーズ「バッハの海へ」
昨年11月、アリーナ・イブラギモヴァさんの
素晴らしいバッハの無伴奏ヴァイオリンパルティータの演奏会を
宗次ホールで実現することが出来ました。
ただ残念なことに、東京、所沢会場が満席になる中、宗次ホールでは空席が目立ちました。
何とかして、バッハの音楽を存分に伝えてくれる音楽家をもっと多くのお客様に聴いて頂きたい。
そのためには、演奏家の知名度に頼らない、バッハの作品を中心に据えた展開をしなくては・・・
そしてできたのがこの企画。
題して「バッハの海へ・・・」
「バッハは小川ではない、大きな海だ!」とはベートーヴェンの言葉といわれています。
ドイツ語でバッハは“小川”の意味でもあることをもじったジョークですね。
広く深く全てを受け入れる……そして
世界の始まりから変わらずそこにあった大海のようなバッハの音楽を、
様々な楽器・編成による多面的な切り口で継続して愉しもうというのがこのシリーズの狙いです。
起用するのは、バッハに並々ならぬこだわりと思い入れを持った、
そしてもちろんバッハの演奏で高い評価を得ているアーティストたちが中心です。
彼らの有名無名、年齢、楽器、編成は問いません。
特に昨今、イブラギモヴァさん同様、
鮮烈で斬新なバッハを演奏する若手が次々に世に出ているのですが、
日本でなかなか彼ら彼女たちが話題になることは有りません。
そんなアーティストさんを積極的に迎えたいと思っています。
とりあえず今決まっているのは次の3公演
■1月29日(日)15:00開演 (発売中)
ティモ・コルホネン ギターリサイタル
無伴奏ヴァイオリンソナタ&パルティータのギター独奏版
♪聴きどころ
フィンランド出身のトップギタリスト。
編曲はコルホネン氏自身によるもので、「バッハの時代に今の6弦ギターがあったなら」
という発想でアレンジされている。
同曲のCDは北欧系レーベルONDINEからリリースされ静かなヒットに。
公演情報はこちら
HMVさんでのCDレビューへ
■2月10日(金)18:45開演 (発売中)
鈴木優人 チェンバロリサイタル
平均律クラヴィーア曲集 第1巻(全24曲)を弾く
♪聴きどころ
まずなかなか演奏されないチェンバロによる平均律第1巻の全曲。
しかも演奏は父に鈴木雅明、叔父に鈴木秀美という音楽一族に生まれ
バッハ・コレギウム・ジャパンの中核メンバーとして頭角を現す若手ホープ。
才気煥発、バッハの小宇宙を描く。
鈴木優人公式サイトはこちら
■6月7日(木)18:45開演 (発売準備中)
ミドリ・ザイラー(バロックヴァイオリン)&クリスティアン・リーガー(チェンバロ)
チェンバロとヴァイオリンのためのソナタ(全6曲)
♪聴きどころ
日本人の母とバイエルン人の父との間に生まれ、
ベルリン古楽アカデミーとジョス・ファン・インマーゼール率いる古楽オーケストラ「アニマ・エテルナ」の
コンサートミストレスを務めるほか、一流オーケストラ、アンサンブルに招かれる才女。
チェンバロのリーガーとの夫婦共演。
公式サイトはこちら
2009年に制作され話題となったベルリン古楽アカデミーのヴィヴァルディ「四季」
ザイラーさんがソロを務めています。
動画はこちら
既に2009年より開始した「世界のカルテット∽カルテットの世界」シリーズと同じく
全部で何回と区切ることもなく、細く長く続けるシリーズに出来ればと思っています。
世にバッハの音楽を求める人のある限り、
日本のホールに珍しく、西欧の教会風に石の床で出来た宗次ホールがバッハの響きに満たされますように。
ところで、このシリーズのテーマをどうしようかと考えあぐね居ていたときに
たまたま私の机の上に載っていた本。私の偏愛する小説家の一人です。
小川洋子「猫を抱いて象と泳ぐ」
特設サイトはこちら
このコンサートシリーズのタイトルをどうしようかと考えをめぐらせていて、
「“バッハ(=小川)の海(大洋)へ”って、これは小川洋子さんのお名前そのものだ!」
ということを発見しました。その瞬間に、もうこのタイトルでいこう、と思った次第です。
バッハと小説家、小川洋子さんの縁。
ご本人はそのことをご存知かどうか分かりませんが、
もし小川さんがバッハをテーマに物語を生み出して下さったなら、と思ってみたり。
※そういえば小川洋子さんにはチェンバロをめぐる物語もありました。
タイトルはラモーの小品に因んでいます。
こんな本・・・
(スタッフ/にしの)