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アトリウム弦楽四重奏団からのメッセージ


10月4日(日)15:00より「世界のカルテット∽カルテットの世界」シリーズ第3弾―アトリウム弦楽四重奏団演奏会を開催いたします。アトリウムSQは往年のボロディンSQ、ベートーヴェンSQを筆頭とした、ロシアの弦楽四重奏の伝統を受け継ぐ期待のニューフェイス。今回が初来日ですが、既にヨーロッパでは頭角を現している人気グループ。ロンドン国際、ボルドー国際という権威あるコンクールで優勝し、大手EMIレコードよりCDをリリースしています。
カルテットコミュニティーにご参加の皆様にはすでに配信させていただいたのですが、こちらでも掲載際させていただきます。ではどうぞー。

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(西野)今回初来日ということですが、日本についてどのような印象をお持ちですか?

(アトリウムSQ)日本で公演ができることはこの上ない喜びであり、とても光栄なことです! 本やテレビ、またヨーロッパやロシアで日本人の演奏家の方々によくお会いするので、もちろん日本のことはよく知っています。日本にはとても豊かな歴史があり、すばらしい文化とそして、とても才能ある人たちの国です。多くのロシア人にとって、日本という国はミステリアスな国なのですよ!

ATRIUMQUARTETT_13.jpg


(西)今回のプログラムはロシアの作曲家でまとめられています。やはりロシアの曲を演奏するということに対しては特別な思い入れがあるものでしょうか。また、ショスタコーヴィチ(第5番)とチャイコフスキー(第2番)については、残念ながら日本ではあまり演奏される機会がありません。この2曲の聴き所を教えてください。


(ア)ロシアの演奏家にとってロシアの作曲家の曲を演奏することはとても自然なことです。もちろん、私たちのレパートリーはロシアの作品ばかりではありませんが、私たちは初めて演奏する国で、ロシアの優れた作品を紹介することを楽しみにしています。

チャイコフスキーとショスタコーヴィチはロシアの音楽史の中でも二つの基盤となる作曲家です。そして、今回選んだ2曲はどちらも、間違いなく彼らの最高傑作とされる曲です。チャイコフスキーの第2番は、作曲家人生も半ばの、非常に活動的であった時期の作品ですが、当時の人々に彼の音楽はさほど受け入れられていませんでした。チャイコフスキーは時代のずっと先を行っていたのです! 今日の音楽愛好家の間ではこの弦楽四重奏曲がチャイコフスキーの作品群の中でも最も優れた曲であるといわれています。

ショスタコーヴィチについては、私たちの演奏家としてのキャリアのスタートとして演奏した曲こそこの弦楽四重奏曲 第5番だったのです。そして、同時に私達のレパートリーの中でも大好きな曲のひとつです。初めての日本ツアーでご披露できるのをとてもうれしく思っています。

とても興味深いのはショスタコーヴィチ自身が他の14曲の弦楽四重奏曲よりもこの曲を特に愛していたということです。彼がこの曲を作曲した当時は、彼自身の生活がとても厳しい時であり、また祖国ソビエト連邦も国としての岐路に立たされていた時期と重なります。こういった環境の影響をとても大きく受けたのがこの曲です。ところどころ、室内オーケストラのような音色がするところがあります。日本の皆様にこの2つの弦楽四重奏曲をどうか気に入っていただけますように!


(西)今回のプログラムにも関連するかもしれませんが、自分達が「ロシアの弦楽四重奏団である」ということについて他のカルテットとここが違うという点はありますか。また皆さんは現在ベルリンを拠点に活動されているそうですが、ロシアを離れて活動することを決めた理由などは?


(ア)ロシア出身の若いクァルテットというのはそれだけで、世界トップクラスの音楽学校で教育を受けたロシアの優れた音楽の後継者であることを意味します。しかし加えて、私たちはいわゆる西欧の音楽教育も同時に受けたかったのです。私達がアムステルダムに、そして後にベルリンに拠点を移したのはそういうわけです。この2つの場所で、並外れた音楽家たちと肩をならべて勉強に励むことが出来たのは、得がたい経験となっています。後に拠点を移したベルリンでの生活が長くなったのは、ベルリンという土地においてヨーロッパの様々な音楽生活が交差しているからです。音楽の中心で生活することは、私たちにとって、とても大きな可能性があるということなのです!


(西)カルテットとして長く活動していくことは大変なことだと思いますが、うまくやっていく秘訣はありますか?


(ア)すばらしいグループを作り上げていくのに大切なのは、室内楽を作り上げていくという過程において、それぞれが妥協せず、積極的に取り組むということです。それは時に4人にとってすごく難しいときもあります。が、私たちはもうすでに小さなひとつの家族のようなものかもしれませんね。(笑)


(西)今後取り組んで行きたい作品や録音の予定などは?


(ア)近々の計画として、2010年がシューマン生誕200年記念ですので、次のシーズンでは彼の曲を積極的に取り入れます。また、2009年の12月に来年75歳になるジョルディ・セルヴェリョというスペインの作曲家の記念曲をレコーディングします。またやはり来年にはショーソンとベートーヴェンを録音する予定があります。それから、ヨーロッパ、アメリカ、カナダでのツアーも計画中です。


(西)日本にはまだまだカルテットの演奏を聴いたことが無いという人がたくさんいます。そういった人々に対して“ズバリ、カルテットの魅力はこれだ!”という一言をお願いします!


(ア)弦楽四重奏曲を今まで一度も聴いたことがない人へ・・・あなたは一番幸せな人です!なぜなら、あなたはこれからとても豊かで、知的な音楽の世界へ足を踏み入れるのですから。これは上流階級の人たちの音楽です。ですから、私たちは初めて弦楽四重奏曲の芸術に触れにコンサートホールに来るお客様全員に祝辞を述べたいくらいです! 弦楽四重奏というのは室内楽でももっとも古い編成です。そして、それは誕生してからこれまで変わらずこの形態を保っています。作曲家にとっても、弦楽四重奏は最も基本となる編成です。そして何より、4人の弦楽器奏者がひとつの大きくて小さい人間の魂を奏でる奇跡・・・。10月4日はきっとこんな気持ちで一杯になるでしょう。「本日ここにカルテットを聴きに来てくださったことに、心よりお礼を言います、ありがとう!」


(西)ありがとうございました。最後にメンバーの皆さんのキャラクターを簡単に教えてください。チラシの写真ではちょっと硬派な感じですが、普段はどんな感じ?(メンバーそれぞれの方に他己紹介しても頂きました!)


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◇アレクセイ(ヴァイオリン):
とてもロマンティックな性格です。写真や最新機器が大好きです。お休みにはほとんど彼は家族とともに過ごします。彼の奥さんはプロのサウンド・エンジニアであり、作曲家、そして2人の小さな子供がいます。自転車と、自然に触れることが好きです。

◇アントン(ヴァイオリン):とても積極的でコミュニケーション能力に長けています。地理に興味があり、また、旅行、詩、料理、古い映画に関する本を読むのも好きです。フリータイムは友達と逢ったり、音楽、ときにジャズなどを聴いたりして過ごしています。

◇ドミトリー(ヴィオラ):とっても明るい性格です。近代小説に出てくる機械のような、コンピューターのよう(回転が速い)です。フリータイムには友達と過ごしたり、またベルリンを離れ、今現在奥さんが勉強をしているアムステルダムへ行ったりします。

◇アンナ(チェロ):強い意志のある女性です。どんな種類の芸術も好きです。そしてペットの犬をとてもかわいがっています。時間のあるときはクラシック音楽をかけながらドライブをして過ごしています。



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10月4日(日)15:00開演 アトリウム弦楽四重奏団 演奏会
♪プログラム
ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲 第5番 変ロ長調 作品92
チャイコフスキー:弦楽四重奏曲 第2番 ヘ長調 作品22
ボロディン:弦楽四重奏曲 第2番 ニ長調
一般¥4,500 友の会¥4,000 学生¥2,700
☆大変お得な世界のカルテット∽カルテットの世界 4公演セット券は、10月4日まで発売。



カルテットコミュニティーでは、宗次ホールに来演するカルテットの情報を、不定期ではありますが月1回?2回、メールやファックスで配信しております。また、お客様から気軽に「こんなカルテットが聴きたい」とか「この間の演奏会は○○だった」というようなご意見を募集しています。いわばモニターさんのような形で、カルテットを応援していこうというものです。随時入会を受け付けていますのでお気軽にどうぞ!


お申し込みは 宗次ホール 西野 まで
e-mail: nishino@munetsuguhall.com


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