1. トップ
  2. 宗次ホール オフィシャルブログ
  3. 旧ブログ
  4. Youtubeでチェック! ...

Youtubeでチェック! アーティストの魅力と素顔(3)フランソワ=フレデリック・ギィ さん


Youtubeでチェック! アーティストの魅力と素顔
6月に宗次ホールに出演するアーティストのインタビュー動画をピックアップ
第3弾!

(第1弾はこちら⇒ ソフィ・ダルティガロングさん
(第2弾はこちら⇒ エリック・シューマンさん
          (シューマン・クァルテットの第1ヴァイオリン奏者 )


どの演奏会に足を運ぼうかを決めるのに、
多くの方はチラシをチェックしていらっしゃると思いますが、
残念ながらチラシからは音も出ないし、
掲載されている情報にも限りがあります。
そこで、約2か月おきに開催中の「気になるコンサートを見つけよう」と題した《講座》では、
この先来演するアーティストの演奏風景や人となりが分かるインタビューの動画を
Youtubeや本人のウェブサイトから拾い集めて紹介しています。
とはいえ、日本語以外の動画やサイトを見るのは億劫と言う方も多いのではないでしょうか。
(私もその一人……。)
そこで、この読み物では来月宗次ホールにやってくる3人の演奏家のインタビュー動画から、
どんなことをお話ししているか、日本語に直してみました。
演奏風景もインタビューの合間に入っていますので楽しめますよ!
(宗次ホール企画担当:西野裕之)



※お断り:日本語訳は完全ではありません。
およその意味を把握する程度、とお考えください。




③ 6月28日(水) フランソワ=フレデリック・ギィ


これまでのベートーヴェンのピアノソナタ全曲録音などのプロジェクトについて
「月光ソナタ」の演奏を背景に語ります。


⇒リンク先:https://youtu.be/nT816_jfJWA
「frederic guy beethoven」 と検索しても見つかります。


ベートーヴェン・プロジェクトは
2007年に指揮者、フィリップ・ジョルダンとの素晴らしい出会いから始まりました。
私たちはピアノ協奏曲の録音をそれから2009年にかけてフランス放送フィルと行ったのです。
そして私たちはサル・プレイエル(パリにあるホールの名称)でこんどは連続演奏会を行いました。
その後のテディ・パパヴラミ(ヴァイオリニスト)とグザヴィエ・フィリップ(チェリスト)との室内楽もまた、この最初のピアノ協奏曲の録音・演奏企画の延長線上にあります。

ベートーヴェンは昔から大好きで、彼の一連の作品は「私のアルファでありオメガであり、
寝る前に読む本のようなもの」と事あるごとに話してきました。
そもそも私にとってこのプロジェクトはまだ始まったような感覚です。
ベートーヴェンのピアノソナタの全集に関しては、
挑戦してもいいかなと思っていたらその機会に恵まれたという感じで、
モンテカルロの春の音楽祭やシテ・ドゥ・ラ・ミュージック(注:会場の名前)などで、
これまでに7回の全曲演奏会をしました。

ベートーヴェンのピアノソナタ全32曲を弾くということは、
私にとってはさらに深く深く物事の奥に入っていくことです。
なぜなら初めの頃はまだ一度も演奏したことのない曲も沢山あったからです。
この「ベートーヴェンの大洋」を大航海をするのは私にとって挑戦でした。
しかし、2008年から時が流れてこれまでに100回近く演奏した曲もあるほど、
どの曲も沢山弾きました。
例えば「ハンマークラヴィーア」とか「悲愴」「月光」などは何度演奏したかわからないほどです。

ベートーヴェンのピアノソナタは、それぞれのフレーズが人間の感情を表現し、
ちょっとしたタッチで様々に変わり得る表現の可能性を秘めています。
プロの音楽家に限らず、初めてその音楽を聴く人をも魅了する理由はそんなところにあるのでしょう。ベートーヴェンの音楽は直接的に人々に語りかけるのです。

それは心に作用し、人間のすべての感情を表現します。最も気高い、あるいは最も野蛮な、
そして最もよくある、あるいは最も例外的な、最も悲しい、最も陽気な、最も伝統に反する・・・
そんな感情をです。
ベートーヴェンの音楽が表現しているものを形容詞にしたら、
こんな感じで少なくとも10個は挙げられるでしょう。
それに「熱情」、「月光」、「悲愴」など、幻想を抱かせる大作があります。
聴く人それぞれがそこに自分を重ね合わせるのです。

ベートーヴェンは音楽を、そして楽器を発展させました。
中期のソナタ、例えば「熱情」、「ワルトシュタイン」、「テンペスト」などを弾いてみると、
我々はベートーヴェンがより力強いピアノ、音域の広いピアノ、
そしてより大きな表現を可能にするピアノを求めていたことに気づきます。
そして彼は実際にそのような楽器の制作をブロードウッド社に依頼しました。
このようにベートーヴェンが彼の音楽の中で
「表現を解放した=自由化」したこともまた重要だと思います。
私と、そして聴いてくださる人々がその音楽に魅了される理由でなのですから。
(了)


フランソワ=フレデリック・ギウイ(表)
フランソワ=フレデリック・ギウイ(裏)




関連記事