竹久夢二の世界 ― 箏・尺八の演奏と共に語る夢のファンタジー ―

― 箏・尺八の演奏と共に語る夢のファンタジー ―

「ある時、私は文字の代わりに絵の形式で詩を画いてみた」

明治と昭和に、はさまれたわずか十四年の歳月しかなかった大正時代。その時代の芸術を語るなら、竹久夢二の絵と詩を見ればいい。
夢二の描く旅芸人、天金の皮表紙の詩集、港屋の半衿、二度とかえらぬロマンティックポエジィ。

― 十六の春、私は都会へ出た。その頃、私は画工になるつもりではありませぬでした。世の栄華を極めたいとばかり思っていた。
けれど、いつしか群集に交わることをさえ恥じるようにして終わった。私は詩人になりたいと思った。
ある時、私は文字の代わりに絵の形式で詩を画いて見た。
それが雑誌に発表された。臆病な私の心は驚き喜んだ―
絵の中への参加を誘う甘い誘惑である。

夢二を天才画家と人は呼ばない。
放浪の旅絵師、そして恋のボヘミアン。
夢二は、絵を書きながら、詩を歌いながら、最後には小説も書き綴りながら、夢を追った。
「誰かが私を待っている。何かが私を待っている・・・・」と。

いざよひの晩 私は泣きながら生まれた。
その時、みんなは笑った。
死ぬ時には、私、笑ってゐたいとおもふ。
そして、みんなを泣かせてやりたい。

竹久夢二 49年の生涯！

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夢二の作品は今も新しく感じます。本物は時空を超えるのです。
古くたっていいものはいい。新しい古いが作品の基準ではないのです。
ダ・ヴィンチやラファエロの絵と同じように時空を超えていると思います・・・・・。
ノスタルジックな意味で、あの頃が懐かしい、いい時代だった、といっているわけではありません。
夢二やそれに連なる作家たちが創った叙情の世界は、空気や水と同じように必要なのです。
夢二の作品や唱えていた文化や生活の改善のしかたは、もう立派な日本の財産です。
きちんと評価をして将来に託したらいいのではないでしょうか。
(談)美輪明宏「夢二のロマンチシズム」
(朝日新聞社主催『生誕120年記念竹久夢二展』図録2004)より
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竹元真一郎（語り）たけもと しんいちろう（ことばの会えくせるしあ）
劇団前進座俳優養成所第一期生、劇団前進座に入座、主な舞台に文化庁芸術祭優秀賞受賞作「さんしょう太夫」の 二郎、文化庁芸術祭賞受賞「怒る富士」の初代佐太郎。
有馬稲子「女優須磨子の恋」新橋演舞場公演の演技で作家賞を受賞。TV出演には、伝七捕物帳、東芝日曜劇場、NHK大河ドラマ「勝 海舟」等。
退座後、名古屋にて演劇教室「プレイルーム」を開設。「ことばの会えくせるしあ」の自主公演の企画・演出・ 制作に携わる。「現し身のことばたち」をシリーズ公演中、出演もする。
ローズ倶楽部講師。大阪シナリオ学院十五期生。「もう一度会いたい教科書の名作」読み語り公演中。教科書の名作を読む会会主。
宗次ホールには「枕草子&平家物語」「万葉集への憧れ」「ヘレン・ケラー物語」「山田耕筰&北原白秋物語・この道」「風説・明智光秀物語」「渋沢栄一物語」「ジョン・F・ケネディの生涯」「DOする家康」「津田梅子物語」「女優・マダム貞奴」等で出演。

吉越瑛山（尺八）よしこし えいざん
​11歳で尺八を始め、野村峰山(人間国宝)に入門。
東京藝術大学音楽学部邦楽科卒業。同大学大学院音楽研究科修士課程修了。
これまで、野村峰山、藤原道山、竹村皓盟の各氏に師事。
16歳でNHK邦楽オーディション合格。第30回市川市新人演奏家コンクール邦楽器部門優秀賞受賞。第48回都山流本曲コンクール全国大会にて銀賞を受賞。令和6年度春日井市文化芸術選奨文化芸術奨励賞を受賞。
都山流師範。公益財団法人 都山流尺八楽会、都山流尺八峰山会、公益社団法人 日本三曲協会、一般社団法人 日本尺八演奏家ネットワーク(JSPN)会員。邦楽ぐるーぷ翔の会同人。和楽器集団「鳳雛」に参加。

吉越大誠（箏）よしこし たいせい
​8歳より生田流箏曲を始める。
これまでに野村祐子、深海さとみ、野村哲子、日吉章吾の各師に師事。
東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を卒業後、東京藝術大学音楽学部邦楽科に進学。宮城賞を受賞し、(公財)青山音楽財団奨学生に選出。 卒業時、同声会賞、アカンサス音楽賞受賞。皇居・桃華楽堂にて、御前演奏を務める。現在、同大学大学院修士1年在学中。
2024年度宮城道雄記念コンクール一般部 第1位。 第29回くまもと全国邦楽コンクール最優秀賞、併せて文部科学大臣賞、熊本県知事賞。あいおい全国邦楽コンクール第11回「古典」一般の部 金賞。令和6年度春日井市文化芸術奨励賞の各賞を受賞。