中木健二リサイタルシリーズ Regard ~ベートーヴェンをめぐるまなざし~Vol.3
中木健二&永田美穂 デュオリサイタル
2024年
1/14
(日)
14:00開演
13:30開場
- 出演者
- 中木健二(チェロ)永田美穂(ピアノ)
- 曲目
- プーランク:フランス組曲
マレ:スペインのフォリア(独奏チェロのための編曲版)
フォーレ:チェロとピアノのためのソナタ 第1番 ニ短調 Op.109
*********
ベートーヴェン:チェロとピアノのためのソナタ 第1番 へ長調 Op.5-1
ブラームス:チェロとピアノのためのソナタ 第1番 ホ短調 Op.38
クラシック音楽は伝統とともに歩んでいます。バロックの時代から現代音楽に至るまで、あらゆる作曲家は先人たちの偉大な作品から学び、インスピレーションをうけ、伝統を継承してきました。バッハの偉業なくしてモーツァルトやハイドンの作品は生まれなかったでしょうし、ベートーヴェンの革新的な作品の数々がなければワーグナーやブラームスは傑作を残すこともありませんでした。
それと同時に、20世紀前半までは新しい音楽(いわゆる現代音楽)と言われる作品の演奏も盛んに行われていました。聴衆は常に新しい刺激を求めていたのです。
今回のリサイタルでは、フランスとドイツ・オーストリアという異なる土壌で継承されてきた二つの伝統にフォーカスします。マラン・マレがバロック時代に大流行した舞曲“ラ・フォリア”に作曲した華麗なる変奏の数々、ルネサンス期の作品のモチーフを使って20世紀にプーランクが作曲した気品とウィットに富んだフランス組曲、独自の和声法と教会旋法でこの上ないほど色鮮やかな音楽世界を築き上げたフォーレのソナタはまさにフランスの絵画や彫刻のように光輝いています。
プログラムの後半にはベートーヴェンとブラームスの偉大なソナタを通して、継承された構築性と荘重な響きをお楽しみにいただきます。また、ブラームスのソナタには自身が敬愛したJ.S.バッハの作品によるモチーフが随所に使われています。
「誰かから何かを引き継ぐ」という考え方は、現代人からするとひょっとしたら少し古臭い、オールド・ファッションなスタイルなのかもしれません。しかしながら、時間の流れが早すぎる現代にあっては、ほんの少し立ち止まって先人たちの言葉に耳を傾けるのも良いのではないでしょうか?
皆様にとってこのプログラムが至福のひとときとなればこんなに嬉しいことはありません。
宗次ホールの豊かな響きの中で、ご一緒させていただけるのを楽しみにしています!
中木 健二
中木健二(チェロ)Kenji Nakagi, Cello
東京藝術大学を経て2003年渡仏。パリ国立高等音楽院、スイス・ベルン芸術大学ソリスト・ディプロマコースの両校を首席で卒業。
2005年第5回ルトスワフスキ国際チェロ・コンクール第1位受賞。同年、第16回FLAME音楽コンクール(フランス)優勝。08年第1回Note et Bien国際フランス音楽コンクールでグランプリならびにドビュッシー特別賞、ブーレーズ特別賞を受賞するなど、受賞多数。
2013年にデビューCD「美しき夕暮れ」をリリース(キングレコード)。16年11月にリリースされた「J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲」(キングレコード)は「レコード芸術」誌で特選盤に選出された。
紀尾井ホール室内管弦楽団メンバー。東京藝術大学音楽学部准教授。
第11回名古屋音楽ペンクラブ賞受賞 Thomastik Infeld社契約アーティスト。
使用楽器は宗次コレクションよりより貸与されている1700年製ヨーゼフ・グァルネリ。
永田美穂(ピアノ)Miho Nagata, Piano
桐朋女子高等学校を経て桐朋学園大学音楽学部演奏学科を卒業。その後パリ・エコールノルマル音楽院最高課程を満場一致の首席でディプロムを取得。同年、イタリア・イモラ国際ピアノアカデミーのディプロムを取得。これまでにイルド・フランス国際コンクール第2位、併せてモーツァルト特別賞受賞など国内外で数々の賞を受賞。ベルギー・ブリュッセルで行われた音楽祭でニージニー・ノヴゴルド・クレムリン交響楽団とチャイコフスキーピアノ協奏曲第1番を共演。また飯森範親、工藤俊幸、黒岩英臣各氏の指揮によりベートーヴェン、ラヴェル、モーツァルトの協奏曲を山形交響楽団と共演している。かみのやま音楽祭~Le château KAMINOYAMA~へ協力アーティストとして参加。オクタヴィア・レコードよりモーツァルトの協奏曲・ソナタを収録したデビューアルバムをリリース。