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第3回アンサンブルフェスタご報告


第3回目となる「名古屋アンサンブルフェスタ in 宗次ホール」

今回は8月19日~21日の3日間、若いカルテット6団体が集まり
公開レッスンと演奏会を行いました。

レッスンをしてくださったのはチェコを代表するプラジャーク四重奏団で
30年以上にわたり第1ヴァイオリンを務めたヴァーツラフ・レメシュ先生。
そして元東京都響首席ヴィオラ奏者で
現在愛知県立芸術大学ほか様々な音楽大学で教鞭をとられている百武由紀先生のお二方。

レメシュ先生は汗だくの熱血指導でした。

8・19アンサンブルフェスタ一眼レフレッスン2

「ハイドンは1拍目が大事!」



8・19アンサンブルフェスタ一眼レフレッスン

「チェロのピツィカートの和音はたっぷりとハープみたいに弾いてごらん!」



21日の演奏会は、全団体を聴いてくださったお客様からの投票による表彰と
講師の先生お二人、そして宗次ホール代表、宗次二オーナーからのご褒美つき。
結果はご覧の通りです。


ベストアンサンブル賞:カルテット・ヴェルヴ
準ベストアンサンブル賞:シャムス・カルテット
特別講師賞:ブロッサム・カルテット
宗次オーナー賞:全出演団体


特別講師賞は先生お二人で最後まで悩まれたのですが、
最終的にはカルテットとしての響きを評価して、美しいモーツァルトと劇的なグリーグを弾いた
京都市立芸術大学の「ブロッサム・カルテット」に与えられました。

アンサンブルフェスタ一眼レフ092縮小

宗次オーナー賞は、「どれか一つに決めることが出来ないほど皆レベルが高かった!」と
全団体に賞金山分け+カレースプーンなどを授与。

8・20~21アンサンブルフェスタ一眼レフ宗次あいさつ


若いカルテットたちは、わずかなレッスンの間のアドバイスで飛躍的に音楽的な向上を見せてくれました。
そして演奏会では、今できることをとにかくやろうという若さ溢れる好演が続きました。
さて、それでは先生方、そして皆様からいただいた各団体へのメッセージを少しご紹介します。



■レーベン弦楽四重奏団

ハイドン:弦楽四重奏曲 ニ短調 作品76-2 「五度」より
メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲 第4番 ホ短調 作品44-2 より


8・20~21アンサンブルフェスタ一眼レフレーベン

メンデルスゾーンの曲に音色があっていました。
私はハイドンが好きではないのですが、今日の演奏には好感が持てました。活き活きとしています。

公開レッスンの効果が顕著でした。演奏にメリハリが利いていました。

清潔な演奏団体です。情熱に溢れ堂々とした第1楽章。
内声の充実が響きを豊かにしています。
ただ、第3楽章では「本番のハイドンの難しさ」に翻弄されていました。
この体験を本番に向けての練習方法を考える良い機会にしてください。
メンデルスゾーンは音色と内容が一致しており
聴き応えがあった第1楽章に対して、第2楽章は未整理でした。
名曲2曲でしたが、もう少し落差が少なく安定していると良いですね。(百武由紀)

素晴らしい演奏でした。
ハイドンではダイナミクスの幅を広げて大きな差を作り出すといいと思います。
メンデルスゾーンはソロを更に出して伴奏を控えるとより魅力的になると思います。(V.レメシュ)


■シャムス・カルテット

ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲 第3番 へ長調 作品73 より
ヤナーチェク:弦楽四重奏曲 第1番 「クロイツェル・ソナタ」


8・20~21アンサンブルフェスタ一眼レフシャムス


アンサンブルがいい。一人の人間が演奏しているようで聴き惚れた。
 
文字通り個性派揃いのメリハリが利いた大熱演でした。

完成度の高いカルテットです。本番を楽しむ余裕も感じられます。
ショスタコーヴィチでは曲の面白さを十分に表した、大変優れた演奏。
ホールの響きを自分たちのものとして生かしていました。
ヤナーチェクは音色の多彩さが見事に生かされ、情熱の渦巻く激しさを伝えていて圧巻でした。
難曲2曲を鮮やかに弾ききり伝えきった感じですね。(百武由紀)

完成されたプロフェッショナルな演奏でした。
ブラボー!ファンタスティック!
皆さんには輝かしい未来が訪れるでしょう。精進あるのみです。(V.レメシュ)


■モカ・カルテット

ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲 第10番 変ホ長調 作品51 「スラブ風」 より
プロコフィエフ:弦楽四重奏曲 第2番 へ長調 作品92


8・20~21アンサンブルフェスタ一眼レフモカ


ドヴォルザークの東欧の静かな響き、
胸にジワリと沁み渡る何かを感じました。このような曲もいいですね。

ドヴォルザークは公開レッスンで指摘を受けたことを思い出しながら
しみじみと聴かせていただきました。
レメシュ先生とモカ・カルテットのおかげで好きな曲が増えました。

ドヴォルザーク、途中楽章の抜粋で難しいスタートでした。
少し力んで聴こえたのが惜しまれます。
プロコフィエフは音の集まりが講習会のときから段違いに良くなりました。
各自の音色に対するイメージを!(百武由紀)

とても美しいドヴォルザーク。もう少しテンポを揺らしてもいいですよ。
自由に弾くところがあってもいいと思います。
プロコフィエフも素晴らしい演奏でした。
第1楽章ではフォルテシモを増やし、大音響で、弓元ギリギリを使って弾くといいでしょう。
第二次世界大戦中の兵器がぶつかり合うガツンガツンとした
聞くに堪えない音を描いています。(V.レメシュ)


■カルテット・ヴェルヴ

ハイドン:弦楽四重奏曲 ト短調 作品74-3 Hob.Ⅲ-74「騎士」
ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲 第12番 ヘ長調 作品96 「アメリカ」


8・20~21アンサンブルフェスタ一眼レフヴェルヴ


清清しく、若さ溢れる演奏でした。
目一杯持っているものを表現しようという気持ちが漲っていました。
アンサンブルとしては更に良くなるでしょうが、この勢いは捨てがたい。
 
公開レッスンの内容が生かされ、素晴らしい演奏でした。
間合いの取り方、弱音での表現大変良かった。

洗練されたハイドン。特に2楽章は心に響きました。アメリカ、第1楽章安定感ありました。
第2楽章ではメロディーと伴奏のバランスがいまひとつの箇所もありましたが、
ヴァイオリン2人のデュオやチェロのソロなど、
随所に感心させられました。カルテットとしての完成度が
非常に高いです。個々の能力と考える力の高さを感じます。
本番の強さも大切な要素でした。(百武由紀)

実に美しい演奏でした。プロフェッショナルで、かつ、心温まる感性豊かな演奏でした。
おめでとうございます!(V.レメシュ)


■ブロッサム・カルテット

モーツァルト:弦楽四重奏曲 第14番 ト長調 K.387 「春」より
グリーグ:弦楽四重奏曲 ト短調 作品27 より


8・20~21アンサンブルフェスタ一眼レフブロッサム


最初ちょっと緊張しすぎたかな?
途中から優雅な調べになってきました。ハモったとき大変美しい。

グリーグは劇的で迫力満点でした。
ただ曲が一本調子なのでずっと聴かせるには難しい曲だと思いました。

音の集まりが見事で響きの素晴らしい団体です。
ホールの響きを上手く生かして気持ちの良いモーツァルトでした。
グリーグでも各所に歌が聴こえ、北欧の景色も見えるようでした。
終楽章は若干疲労もありましたが弾ききりました。
カルテットとしてのクオリティの高さを感じます。
今後の活動を期待します。色々な曲をこのカルテットの音で聴いてみたいです。
(百武由紀)

美しいモーツァルトとグリーグでした。モーツァルトのメヌエットは少々早すぎて、
舞曲らしさが足りないと思いましたが、全体的にとても美しい演奏でした。
グリーグでは実に見事にダイナミクスの変化がつけられていて、アンサンブルも素晴らしかったです。
(V.レメシュ)

■ダッツ

モーツァルト:弦楽四重奏曲 第1番 ト長調 K.80「ローディ」
スメタナ:弦楽四重奏曲 第1番 ホ短調 「わが生涯より」


8・20~21アンサンブルフェスタ一眼レフダッツ演奏中


弦楽四重奏は年齢を重ねた人の音楽だと思っていましたが、(これを聴いて)青春の音楽だと思いました。
モーツァルトの喜び、スメタナの哀しみ、胸に響きます。
 
ハーゲンダッツは私も大好きです。もしやハーゲンに続け・・・というネーミング?

モーツァルトの「ローディ」のような曲は素朴なので逆に粗が目立って怖いものです。
何年か後に楽しくできるように・・・。スメタナは頑張りました!!(百武由紀)

とても美しいモーツァルトでした。舞曲らしさを加えると更に良くなると思います。
スメタナの第1番は弦楽四重奏曲の中でも最も難しい曲の一つですが、素晴らしい出来でした。
講習会での僕の提案を全部受け入れて演奏してくれてありがとう! 幸運を祈ります。(V.レメシュ)


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