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【アーティスト・インタビュー】3/31 ラフィ・ベサリアン ピアノコンサート


♪宗次ホールのコンサートがもっと面白くなる読み物 (アーティスト・インタビュー)♪




東ヨーロッパ仕込みの伝統あるピアニズム。
激烈な程に
濃密な音楽と劇的なドラマ性、溢れる抒情性と旋律美…
大西洋を渡り、その芸術を遠い米国へ感動と共に運んだ。
ベサリアンの生き様は、ラフマニノフの人生と重なる。
(ファンファーレ誌/米)





宗次ホール初登場となるベサリアン氏。
アルメニア共和国の首都・エレバン出身で、今回はアルメニアの作曲家、ババジャニアンやバグダサリアンの作品に加えて、レコード芸術誌にて「準特選盤」に選出されたCDにも収録されている、ラフマニノフのソナタ第2番を中心に、大変興味深いプログラムとなっております!
  
                     文責:宗次ホール企画担当 廣田 政子(ひろた まさこ)



ラフィ・ベサリアン (ピアノ)

Raffi Besalyan, Piano
 



アルメニアのエレバン生まれ。特別英才児のためのチャイコフスキー音楽学校で学んだ後、エレバン・コミタス音楽大学で博士号取得、ローワン大学およびニューヨークのマンハッタン音楽大学で学位を取得。
セルゲイ・ベルセギアン、バイロン・ジャニスに師事。  

ジョセフ・ホフマン国際コンクール、ニューヨーク・フリンナ・アーバーバック国際コンクール等で優勝歴を持つ。
アトランタシンフォニー、ニュージャージーフェスティバル管弦楽団、大阪シンフォニーオーケストラ、モスクワ室内楽団等と共演を重ね絶賛を博す。

レコーディングに於いては、ソロアルバム「ダンス・ドラマ・デカダンス」が2012年レコード芸術“準特選盤”、毎日新聞“今月の3枚”、東京FM「ミュージックバード」で“今月のベストリリース”に選ばれ全曲が放送され、また音楽之友社よりピアノ指導者や生徒への推薦アーカイブとされている。
 後進の育成にも力を注いでおり、ニュージャージー州立ローワン大学音楽学部教授、ウィスコンシン州立大学音楽学部教授を歴任、現在はジョージア州立大学音楽学部教授を務める。





◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


●ピアノを始められたきっかけは?

 ○幼少の頃から、クラシック音楽に興味をもっていました。3歳位の頃からラジオやTVから音楽が流れてきたときには、いつも引き寄せられるように聴き入っていたそうです。特にプッチーニとラフマニノフがお気に入りでした。両親は音楽関係の仕事にはついておらず、エンジニアの家系でしたので、不思議な話ですけどね。音楽家になったのは私ひとりです!
 ヴァイオリンを習い始めた兄のために両親がピアノ
を購入したのがきっかけで、遊びながら弾くようになりました。はじめは耳で覚えて練習するようになり、その後兄の先生のすすめで、本格的な音楽教育を受けるようになりました。




●3歳の頃からラフマニノフがお好きだったのですね!CDでもラフマニノフのソナタ第2番を最初に収録されていますが、ベサリアンさんにとってラフマニノフとは?

 ○私がアメリカに引っ越すよりもずいぶん前…幼少の頃から、ラフマニノフには特別な感情を抱いていました。初めて前奏曲嬰ハ短調を耳にした時の衝撃、沸き起こった畏敬の念のようなものは、今でも忘れられません。完全に一目惚れ、ならぬ一聴で恋に落ちた経験ですね。その足で直ぐ図書館へ出向き、楽譜を借りて練習、1週間程で仕上げました。この曲を弾けるようになったことが僕自身の大きな達成感となり、演奏を仕事にしたい、という気持ちが固まったのです。




●1996年アルメニアで音楽院に通っていた最後の年、モスクワで開催されるという「第2回ラフマニノフ国際ピアノコンクール」のポスターを偶然目にしたベサリアンさん、コンクールへのエントリーを決意します。
その演奏を耳にした米国のとある大学教授が彼をアメリカへ招待し、それ以来米国に住むことになります。



○アメリカで師事したバイロン・ジャニス師は、素晴らしい教師でした。…ウラディミール・ホロヴィッツに直接師事した人物だったのですが、ホロヴィッツの豊かな感情表現、超絶技巧と、圧倒されるほどの色彩豊かな音のパレット、そして誰にも真似できない程の音質とディナーミクの幅広さなどを継承し、とても情熱的な演奏解釈をする素晴らしい師でした。私自身にとってホロヴィッツは昔から、一番憧れの“スター”でしたから、マンハッタン音楽学校(NY)にてジャニス師に師事できたことは、本当に光栄なことでした。
ジャニス師の彩り豊かな音色と華やかな演奏技術、そして豊かな想像力に、たくさんインスピレーションを頂きました。


 ●アルメニア流の演奏法とロシア流の演奏法。その違いはどんなものなのでしょうか?アルメニア人であるベサリアンさんの演奏は、例えばロシアの聴衆にはどのように受け止められていますか?


○ロシアの皆様からは、私の演奏は感情の起伏が大きく、パワフルだといわれます。一般的に、アルメニア人は気性が荒く、血の気が濃い人種だと思われていますからね(笑)




●ロシアに留まらず、旋律を滑らかに歌い上げる点、そしてフレージングの柔軟さなど、ベサリアンさんの表現豊かな演奏に対しての評価は大変高いものです。
その豊かな歌いくちは、アルメニア人特有のものなのでしょうか?



○どうでしょうね、とあるロシアの評論家の方からは、私の演奏するラフマニノフ「コレルリの主題による変奏曲」から、古代のアルメニア聖歌を感じると言われたことがあります。



●アルメニア聖歌といえば、今回プログラムに入っているアルメニアの作曲家、バグダサリアンによる「3つのプレリュード」もアルメニア宗教音楽の音楽語法を用いているようですね?



○バグダサリアンは“アルメニアのラフマニノフ”と呼ばれた人物。エレバンに生まれ、ピアノ演奏と作曲の両方を学び、ロシアで研鑽を積んだ後、エレバン・コミタス音楽大学(ベサリアンさんも博士号を取得した学校)で教鞭を執りました。ピアノ作品に留まらず管弦楽作品やバレエ、ピアノ協奏曲、室内楽や映画音楽なと、幅広いジャンルの作品を残しています。
今回演奏する「3つのプレリュード」も古典的な形式を用いつつメロディーの組み立て方は正にアルメニアの古代聖歌のような趣。ハーモニーも極めてアルメニア的です。そしてピアノの響きはとてもラフマニノフチック、と言えると思います。


 ●ラフマニノフチック…。バグダサリアンの、メロディーメーカーとしての手腕、そこに加えられる絶妙なハーモニーと和音の進行、その和音から引きだされるピアノという楽器の美しい響きと共鳴、そして余韻。「プレリュード」もどこか物悲しさのある、ドラマチックな曲想ですが、こういった作風もやはりラフマニノフからの影響によるものだと思われますか?



○ソ連時代に生きた作曲家達は皆、多かれ少なかれロシアロマン派の音楽とラフマニノフからの影響、そしてインスピレーションを受けていると感じます。
厚みのある豊かなハーモニー、押し流されるかのように淀みなく流れる旋律などですね。ただそれに劣らず、アルメニア的な独特の和音、アルメニア古代の聖歌に基づいたユニークな旋律線、民族舞踏的なリズム…など、アルメニアのルーツを感じて頂けると思いますよ!



●この日は他のアルメニアの作曲家、ババジャニアンによるプレリュード、メロディー、そしてエレジーも演奏されますね。ババジャニアンはピアニストとしても才能があり、ラフマニノフに匹敵すると言われていたそうですね。


 


○バグダサリアンの1年前に生まれたババジャニアンもモスクワ音楽院に行った後ロシアで活躍をしましたが、祖国アルメニアの民族色と、ロシア流の超絶技巧を組み合わせた、優れた作品を残しています。特に今回演奏する3つの作品からは、そのコンビネーションを感じ取って頂けると思います。ショパンからラフマニノフを経由して受け継がれたメロディーの美しさは「プレリュード」に。次の「メロディー」ではラフマニノフのコンチェルト緩徐楽章を思わせる曲想を聴くことができます。最後の「エレジー」(哀歌、の意味)はババジャニアンの晩年、1978年に書かれた作品で、同年他界したアルメニア出身の作曲家アラム・ハチャトゥリアンに向けて作られました。実はハチャトゥリアンはババジャニアンが僅か5歳の時にその音楽的才能をいち早く見出し、音楽家としてのキャリアをサポートした人物です。この曲はアルメニア文学を代表する詩人の一人、サヤト・ノヴァ(1712-1795)による歌を元にアレンジされています。




●最後に、メッセージをお願いいたします。



○ババジャニアンとバグダサリアンの作品は、アルメニア民族音楽の影響を色濃く受けています。作品の飾り気のない素朴さと滲み出る情感に、私はアルメニア人と日本人の国民性の共通点を強く感じます。色彩溢れる豊かな和音、詩情、そして技巧性をお楽しみください。 

『音楽とは、聴く者の心を捉え、訴えかけ、感動を呼ぶものであるべきなのです』とはババジャニアンの言葉ですが、彼の音楽は正にこの言葉通り、日本人である私達の心にも訴えかけるものがあります。演奏される機会があまり多くないこれらの作品を、アルメニア人であるベサリアンさんの演奏で、是非お楽しみ下さい!




【参照】
“Wisconsin Public Radio Raffi Besalyan July 13th, 2012”:
“Fanfare Magazine Interview: Raffi Besalyan” 
“Pianists From the Inside: Raffi Besalyan”


ラフィ・ベサリアン スイーツタイムコンサート



【プログラム】
モーツァルト:ピアノソナタ 第10番 ハ長調 K.330
バグダサリアン:3つのプレリュード
ガーシュウィン/ワイルド編:3つのエチュード
ショパン:バラード 第4番 ヘ短調 Op.52
ババジャニアン:プレリュード、メロディー、エレジー
ラフマニノフ:プレリュード Op.23-5, 32-5
ピアノソナタ 第2番 変ロ短調 Op.36


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3月31日(土)13:30 開演(13:00開場)

¥2,000 自由席[チャリティーシート¥2,200]

チケット有! 

ご予約は宗次ホールチケットセンターへ
 ☎052-265-1718(10:00~16:00 ※一部例外有)


スイーツ(ラフィ・ベサリアン)表 スイーツ(ラフィ・ベサリアン)裏


宗次ホールでのコンサートチケットは、

宗次ホールチケットセンター窓口あるいはお電話で♫


☏ 052-265-1718
(営業時間 10:00~16:00 夜公演が開催される日はコンサート終了時まで )




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(チケットぴあ、名鉄ホールチケットセンターはインターネットでのご購入も可能です)。

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